通信H20年9月号(ブナ植栽の集い予告)

今年の稲刈りは少し遅れ気味

 記録的な猛暑に見舞われた皆さんには申し訳ありませんが、 秋田はクーラー不要の短くて涼しい夏でした。
 真夏でも朝晩は窓を開けて寝ていられない位気温が下りました。稲は、この天候で生育は遅れていますが、低温気味のお陰でかえって健康です。

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 穀物や果物などは一般に、作物の種類や品種によって少々の違いはありますが、日中は、 太陽光線が豊富なことと、温度が高いことによって、作物の葉っぱによる光合成が盛んになってデンプンや栄養を蓄積します。
 一方で、夜は気温が低い方が、作物体の呼吸作用が抑えられて日中蓄えた栄養の消耗が少なくなります。また病気や害虫の発生も抑えられます。 ・・・・・ですので、北海道のトウモロコシや長野の果物などが美味しいと言われるように、日中は気温が高く、夜は冷える。という「日格差」 (ニッカクサ)が大きいことが、植物生理上では、品質や収量の増加に役立つということになります。

 このように今年は、秋田の夏は短くて涼しいでしたが、冷害が出るほど気温が低くなかったので、 お米にとってはほぼ好条件の夏だったと言えます。
 これから本格的な成熟期に入る時期に、太陽が多く照ってくれれば最高。そして、台風の襲来がないことを祈っています。
 いま今年最後の草取りに入りました。新米の出荷は、これからの天候により変化しますが、今の予想では、 例年よりも少し遅れて10月中旬になりそうです。
 多分今年も、美味しい「あきたこまち」がお届けできると思います。ご期待下さい。

最後の草取りに入りました。

 例年だと、7月末に田圃の水を落とすと、真夏の太陽が降り注ぎ10日ほどで田圃は乾き、足がぬからなくなります。
 イネが穂を出し、花が咲く時期に中断する草取りは、田圃が固くなったお盆過ぎから再開して、雑草、 特にヒエの種が落ちない間に最後の草取りを行います。
 しかし、今年は落水後、気温が低く、雨も時々降ったことで、田圃が乾かず、草取りに入れない状態が続いていましたが、 8月29日から再開できました。
 最後の草取りの初日、ちょうど東京から消費者の方が田圃見学に訪れました。 

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 この最後の草取りは、無農薬栽培の場合には、雑草の種を落とすと、来年以降に草が多くなることを防ぐためです。
 ですから、この作業は今年ではなくて来年のための仕事となります。

予告  文化の日はブナの植栽です。

 皆さんにご支援頂いているブナの植栽運動。今年で16回目になります。
 毎年植栽運動へのカンパのブナ券(1,000円)の購入や、11月3日のブナ植へのご参加ありがとうございます。 今年も11月3日の文化の日に行います。
 下の写真は、昨年植えたブナの下刈りを行った7月の作業時のスナップです。
 赤いリボンが見えるのは、下刈りの時にブナの苗木を切らないための目印のリボンです。
 11月2日はロッヂで前夜祭を行います。
 ご参加頂ける方は、 夜行バスや飛行機の手配と当ロッヂの宿泊予約を早めにお願いします。  IMG_2474-1

 

投稿者 kurose :2008年09月05日

通信H20年8月号(カメムシ君と稲糀)

暑中お見舞い申し上げます。

 関西や関東では毎日猛暑のようですが、どうぞお身体に気を付けてお過ごし下さい。

 秋田は、7月中頃まで、気温は低く、雨もほとんどないカラ梅雨が続いていましたが、下旬に入り梅雨明け宣言が出た頃より、 逆に梅雨模様の日々になり、日によって暑い日も現れてきました。
 この天候により、稲の生育は例年よりも、数日遅れているようですが、稲の状態は非常に良好です。 後は台風のないことを祈っているところです。

 ところで、田圃は、田植えをした後は2ヶ月ほど、水を張ったままの状態で管理します。 その後、穂が出る半月前ごろからは、水を落として管理します。
 田植え後から、今日まで、除草に明け暮れましたが、水を落とす(落水)時期になったので、これで前半の草取りは終了です。次はお盆過ぎに、 田圃が乾いて、足がぬからないようになってからの、後半の草取再開まで休戦です。
 昨年は、初期雑草の抑制が上手くいかなかったため、落水までに終えなくてはならない前半の草取りを、 完了しないままに草取り中断の時期を迎え、草に負けた所が多いでした。

 今年は、今までの草取りには多くの人手が必要でしたが、それでも昨年に比べると、前半の草取りは、落水時期までに無事完了。
 その上、延べ100人前後の人手が削減できました。
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 上の写真は、草取りが遅れた部分の雑草の7月20日の姿です。このようになると、一人のパートさんが一日に、3条(約1†)巾で、 長さ150†を除草するのが精一杯です。この1回の除草労賃だけでも、お米10Kgで千円以上のコストとなります。
 ですので、無農薬栽培では、的確機敏な草対策に一番気を遣う必要があるのです。
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 上の写真は、落水時期までに終える前半の手取り除草の、終盤期のスナップです。
 この時期の雑草は、3日で倍の体積になります。草が大きくなると加速度的に除草労力が増え、3日遅れると倍以上の人手が必要になり、 1週間遅れると3倍、それ以上遅れて雑草が激しい場合は、もはやお手上げ状態となります。

 お米に異物が混ざっている・・・・・・どうしたの

  6月、7月にお届けしたお米に「黒い斑点のある米粒や、茶褐色などの異物様の物が普段より多く混ざっている。」 などのお問い合わせがありました。
 大変失礼しました。
 今年もこの2つの被害原因が発生する時期(穂が出る時期)を迎えますので、このことについて下に説明します。
 どうぞご容赦ご理解をお願いします。

  黒い斑点のある米粒の混入

 これは、ご存じの方も多いと思いますが、イネカメムシの被害粒です。
 穂が出て、米粒が出来始める頃に(まだ固まっていない米粒の乳液を)カメムシが吸収します。
 その傷跡が黒い斑点になります

 
  茶褐色などの異物様の物の混入

 「ネズミの糞の破片でしようか」とか「土でしょうか」 などのお問い合わせがありますが、よく状況を聞かせて頂いたり、 現物を送って頂いて観察すると、今までの例では、ほとんど全部が、稲糀(イナコウジ)病に冒された米粒の破片です。

 稲糀とは、天然にある糀菌が、稲が稔る初期に米粒に繁殖します。
 この糀菌は外側は真っ黒から茶褐色、中に入るに従って、黄色、灰色と色が薄くなりますので、破片によって色々の色の「異物」に見えます。
 雨の日に穂が出た田圃に多発します。

 カメムシ粒、稲糀、共に、見た目を悪くして恐縮ですが、食べても問題ありません。
 この被害粒は、年により多い、少ないがあり、また、穂が出る時期によって田圃毎に極端に変わります。
 従って、今月のお米は急に多くなった。ということがあります。
 またどちらも、発生時期に2,3回農薬を散布すると防げますので、一般に売られているお米の場合は、 このような黒い粒が混ざることはほとんどありません。
 しかし、「穂が出て収穫間際の時期の農薬使用は特に避けるべきだ。」とする、無農薬や減農薬栽培農家では、 我が農舎と同じように悩みの種です。


 無農薬栽培での、稲糀対策は、栽培上での対応方法がなく、 天気だのみです。穂が出る時期に好天が続くことを期待するしかない、状況です。

 一方、イネカメムシ対策は、穂が出る10日ほど前までは、 畦草(アゼクサ)を常にキレイに刈り取って虫の繁殖数を抑えて被害を少なくする。
 しかし、カメムシが米粒を吸う時期の1ヶ月は、カメムシ君と休戦協定を結び、逆に、虫の住みかの畦草を刈らないように仲良くして、 稲にカメムシが飛んでこないようにすることで、被害を少なくするなどの工夫をします。
 また、カメムシは、付近の田んぼに比べ、1日、2日早く穂が出た田んぼは被害が多い。隣の田んぼに大豆などが作られていると被害が多い。 という傾向があります。

投稿者 kurose :2008年08月02日

通信H20年7月号(稲の生長と除草)

  草 取 り 没 頭 

 雨が少なく、田圃がいつになく乾いた今年は、田圃を平らにするレベラー作業を優先した結果、田植えは5月31日までかかりました。
 この努力のかいがあって、我が家の田圃は見違えるようにキレイになり、田植え後の田圃を見に来る有機仲間や、草取り作業のパートさんたちに「息子さんが参加するとこんなにも違うのか」などど冷やかされています。
 確かに米作りに参加することになった次男・友基は、私の性格と異なり、ゆったりしている面があるので、丁寧な仕事をするには向いているようです。

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 田植えが終わると数日で雑草が芽を出してきます。除草剤を使わないお米作りはこの時期からずっと草対策に追われます。
 田植えをして数日すると、稲は新しい根を数ミリ出してきます。これよりも早く除草機を掛けると、苗が浮いてダメになるため、この時期まで待って直ぐに第一回目の除草機を掛けます。
 この時期は、その時の気温や水温によって数日のズレがありますが、これが3日も遅れると、我が農舎のように10ヘクタールも除草剤を使わない米作りも、その上同じ田圃で10年以上も続けている場合は、その後の草取りのパートさんの投入人員が100人も200人も余分に必要になります。

 百姓仕事は「ゆったり」「のんびり」などのイメージがありますが、この表現は農業の基本的な姿としては当たっている面もありますが、こと有機栽培の雑草対策などでは「赤子が泣いても、放っておく」くらいの機敏で真剣な対応が必要なのです。
 上の写真は6月5日から始めた第一回目の除草機を掛け、6月12日から2回目の除草機掛け。
 その直後から始めた第一回目の手取り除草のスナップです。

 稲の生長と除草行程

 この通信に取り上げたいテーマはいっぱいありますが、この頃は、田圃作業に追われて少々疲れ気味。
 そこで今号は、通信用のスナップ写真を使って田圃の現況報告とします。
 先ず、左の写真。
 写真は上2枚は、第一回目の除草機作業で6月7日。
 下は2枚は、3回目の除草機掛けで6月25日です。
 この2つを、比べてご覧下さい。
 我が家の田圃は、化学肥料も一切使いませんので他の農家のようにイネは急激に生育しません。
 しかし、20日足らずの間にイネはこんなに生長するのです。

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 一方、雑草の生長はさらに凄いです。
 第一回目の除草機掛けの雑草の大きさは、芽を出した直後の2から3ミリ程度。
 この時期に除草機を掛けると、除草機で土が攪拌された部分にある、芽を出したばかりの雑草は8から9割は除去できます。
 しかし除草機が通過した直後からまた新しい雑草の種が発芽してきます。
 ですので、この時期は5日から7日おきに除草機作業を繰り返すという訳です。

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 また、稲の株元など除草機で土が攪拌できない部分(土壌表面の40%)が困りものです。
 この部分の雑草であっても、発芽直後の雑草の2・3割は、除草機が飛ばした泥によって死滅します。
 しかし、残った雑草は手で除去するしかなく、上の写真は2回目の除草機作業直後にパートさん延べ100名の応援で手取り除草した時のスナップです。
  (手取り除草は、秋までに4回ほど繰り返します。)

 下の写真は、田植え後25日目の稲の姿と、3回の除草機作業と1回目の手取り除草作業後に、取り残され成長したコナギなどが中心の雑草の様子です。(リックして拡大画像をご覧下さい。)
 このように取り残した雑草も日に日に大きくなり、一方で、7月半ばまでは次々に新しい雑草が発芽してきます。
 手を抜くと雑草が土面を覆い、また、雑草の丈も長くなって稲を飲み込み、稲の栄養を奪ったり、株元の風通しが悪くなって、稲を病気に導きます。

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 これら生えた雑草は、成長期には3日で2・3倍に成長し、また次々に芽も出ます。  
 雑草対策は、先ず、ていねいな代掻きや深水などで雑草の発生を出来るだけ抑えること。
 この行程で雑草発生を半分どころか、条件がよければ、雑草の種類にもよるが7・8割まで減らせることもあるので、このきめ細かい管理に精力を注ぎ込むことが大切です。
 次に、はやめ早目の草取りです。適期から3日遅れれば倍以上の労力が必要です。・・・・・昔から「草は見ずして、草を取れ」という諺があると聞きますが、無農薬で作物を育てると、この諺は、精神論ではなく、合理性の追求から出た言葉であることを実感します。

 2Kg小分け袋新調しました。

 お米の消費量の少ない方用に、今までから2Kgの小分け袋を準備していました。
 でも、今までの袋は、お菓子などの軽い物用を使っていたので、たまに袋が破れるなどのご迷惑をお掛けしていました。
 最近、学生さんや一人暮らしの忙しい方などのご利用が増えてきました。
 そこで、思い切って、専用袋を製作しました。
 次のような特徴があります。どうぞご活用下さい。
 
1、真空に加えて、脱酸素剤も封入していますので、5Kgの真空パック包装よりもより保存性が高いです。

2、少々贅沢で悩みましたがチャック付きの袋にしました。
   夏場の暑い時期には、開封後はチャックを閉めて、冷蔵庫で保管下さると美味しさが保てます。
   でも、使うときに冷蔵庫から出すと、夏場はビール瓶を出した時に、ビンに水滴が付く原理と同じように、
   お米も結露して、放置すると、これがカビや味落ちの原因になります。
   冷蔵庫から出したときは、露が出ないうちに、直ぐに冷蔵庫に戻してください。

3、綺麗な写真付きの袋ですので、進物にも最適です。ご利用下さい。

4、2Kg小分け袋は、(特)区分のお米限定です。

投稿者 kurose :2008年07月02日

H20年6月号通信(栽培概要)

田植え順調に終了

 秋田は5月上旬まで雨がほとんどない好天に恵まれました。
 付近の農家は、ほとんどがビニールハウスで苗を育てていますので、気温は低くても太陽が照ればハウス内は高温になり、苗の生育が早くなって、田植え時期が例年より早くなりました。
 我が家は、例年だと田圃がぬかるんでレベラー作業は十分できませんが、今年はこの雨の少ない好天を活かして、田圃を平らにするレベラー作業を優先することにして、種蒔き時期を少し遅らせました。
 また、苗にも農薬を使わない対策として、10年ほど前から我が家では、ビニールハウス方式による苗作りを止めて、ビニールを張らずに露地にポリシートを敷き、苗箱を並べ、浅く水を張ることで保温するという「プール育苗方式」を行っているため、今年のように雨は少なかったものの気温が低い日が多いと、苗の生育は遅れ気味になりましたが、丈夫な苗に育ちました。

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今年最後の田植え圃場の代掻き作業(2008・5・28)鏡のように平らで光った田んぼになりました。

 この2つによって、付近の農家が田植えを終える5月下旬頃から田植えを始めました。
 種蒔きや田植えを遅らせて、レベラー作業に集中した結果、田圃がグンと平らになり、、また、田植え作業で一番困りものの、強風の日は少なく、順調に田植えを終えることが出来ました。
 今年は、次男・友基が米作りに参加して2年目、初年目の昨年とは大違いで作業手順にも慣れ、我が家の米作り30年余りの中で、一番満足できた田植えとなりました。
 でも無農薬栽培の本番はこれからの雑草対策です。今年の春先には、カモの除草を検討しましたが北海道や十和田湖で白鳥に鶏インフルエンザが発生したという情報で、今年は鴨の導入を見合わすことにしたところです。
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 田植え作業風景(2008年5月25日)黒瀬農舎無農薬圃場

 黒瀬農舎の「あきたこまち」栽培概要

 「提携米あきたこまち」の生産姿勢や栽培内容などは手作りのパンフなどでお伝えしていますが、今年のお米作り本番の時期に当たり、我が農舎のお米作りの主な特徴をあらためて紹介しておきます。
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種 子 と 育 苗

 秋田県の種子認定を受けて採種されたあきたこまちの種子を毎年購入します。 
  認定種子は予め種子消毒して配布されるシステムですが、特に無消毒指定で購入して、60℃10分間のお湯で消毒して、苗床や苗にも化学肥料や農薬は使用しません。
 有機質肥料を使うとカビがでたり、根に障害が出やすくなり、また、農薬を使わないと苗の病気も多く出ます。
 このため、苗床の温度を上げないようにビニールハウスを使わ
ずに露地で、また、苗床を嫌気状態にしてカビを防ぐために浅く水を張るプール育苗するなど長年失敗を繰り返しながら色々工夫して、やっと丈夫な苗が育てられるようになりました。

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種を蒔き、室で芽を出した苗箱をポリシーとを敷いた露地に並べて、有機肥料を施しているところ。その後浅く水を張って苗を育てる。
水を張る目的は、水を張ることで苗床を嫌気状態にすることでカビや病気を防ぐこと。霜や寒さを防ぐために水によって保温することの2つです。

本田の肥料や病害虫農薬

 食べ物の種類や量など日常の健康管理を怠ると肥満し健康を損ねる人間と同じように、お米も、収穫量を上げるために肥料(栄養)を多く施すと、病害虫の発生が加速度的に増加します。
 そこで、付近の慣行栽培よりも、収量を2割程度減らす栄養補給設計と、化学肥料を使わずに有機質肥料の微生物とミネラル効果で、稲を健康に育て、農薬を使用せずに作っています。
 有機質肥料にも種々のものがありますが、自家産の米糠、菜種油粕、有機資材の認証を受けたウズラの鶏糞や魚粉を一時発酵させた「放線有機」などの各資材のCN率を見極め、田圃毎の土質によって組合せや量をかえる工夫で、元肥に全量施して追肥は基本的に無施用です。  以上のようにバランスの好い食べ物を小食する人間の健康管理と同じように有機栄養で土壌微生物を増やし健康な稲作りをすることで、病害虫農薬は基本的に使用しないで済ませます。
 このように化学肥料や農薬を使わない栽培は、有機を科学する視点を持った長年の工夫や経験の積み重ねと、冷涼な秋田の風土という自然の恵みに助けられている点も大きいです。
 ただ、イネカメムシや稲糀(イナコウジ)による斑点米や黒褐色の米粒が混じることがありますが、味などには影響ありませんので、皆さんに、農薬を使っていないお米の印ということでご理解ご容赦をお願いしているところです。

雑 草 対 策

 一般に農薬撒布の目的は2つあります。
 一つは前述の収穫量を上げる目的の病害虫農薬です。
 もう一つが労力を減らす目的の除草剤です。
 病害虫農薬を使わないことは、稲を健康に育てて病気などに罹らないようにしたり、多くの収穫量を求めないことで、何とかしのげます。
 しかし、除草剤を使わない栽培は正に雑草との闘いで、有機栽培はこれが一番大変です。
 田圃を限りなく平らにして水を深く張ったり、代掻きを工夫したりして、雑草の初期発生を出来るだけ抑えますが、こうしてもその後放置すれば雑草まみれになって収穫は半作以下となります。
 そこで、除草機を1週間毎に4,5回掛け、あとは人の手による草取りです。
 我が家は7割の田圃が無除草剤栽培ですが、昨年の例では、この我が家分だけでも延べ500人余りの草取りのパートさんの力を借りました。
(残り3割の田圃には、毒性の少ない除草剤を1回に限って使っています。)
 この無除草剤栽培は「「特」あきたこまち」と栽培区分表示して皆さんにお届けしています。

以下に除草風景などのスナップ数枚貼っておきます。
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第一回目の機械除草風景(2008年6月8日)
今年は少し気温が低く草の発生も今のところは少ないようです。でもこれから気温が上がれば草も元気になり大変な時期に向かいます。
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上は黒瀬農舎の田んぼを訪れた消費者の家族。下は除草作業のおやつを田んぼに届けに来た孫(10ヶ月)たち。
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投稿者 kurose :2008年06月02日

H20年5月号(最近の世界食糧事情)

今年の桜は超特急・・・あっという間に散りました。

 今年は3月から好天続きで、4月には雨の日はほんの2,3日しかありませんでした。
 好天は、田圃作業にとって嬉しいことですが、これからの本格的な稲作期間の悪天候に繋がる恐れもあり心配です。 
 我が農舎では、折角のこの好天を活かして田圃を平らに均すレベラー作業に早朝5時前から精を出しました。

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 (トラクターに装着したレベラーで田圃を平らにする作業)

 水田は、土面が高くて水が浅い場所は雑草が多く出ます。水が深すぎると苗がダメになります。特に、除草剤を使わない栽培では、田圃を平らにして、水を均一に張ることで雑草の発生を抑えることが一番大切です。
 写真のトラクターに装着してるレベラーという作業機は、3メートル位のポールの上部にレザー光線をキャッチする受光器があり、自動的に田圃を平らにするハイテク機です。
 この作業は雨が多く田圃が柔らかい年は、まったく使えません。
 今年はこの面では、最高のコンでションですので「今こそは」と、種蒔きを遅らせて、連日レベラー作業に集中しました。

 ところで、例年ですと、大型連休の前半は楽しむことができる、我が村自慢の桜と菜の花ロードは、この好天で4月中旬に桜が満開になりました。 
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  (我が村自慢の桜と菜の花ロード)

  その上、桜見物の人々が訪れる間もなく、あっという間に咲きあっという間に散りました。
 いつもだと、種蒔きが終わって一段落した時期に近隣の農家家族連れで、我が家の田圃の桜の下でゆっくりと見頃の花見会。でも今年は種蒔きが終わっていない中での慌ただしい昼食会という花見会でした。

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   (近隣5軒の農家で合同花見会・手作りの我が田圃の作業小屋にて)

最近の世界食糧事情

 国際市場では、食糧のバイオエタノール転換や地球温暖化による異常気象で昨年末頃より価格高騰などの変化が出てきたことを今までの通信でお伝えしてきました。
 この状況は、中国やインドの穀物大量買い付けが重なって、最近ますます厳しさを増してきました。特に東南アジアでは、生産国であるのに穀物価格の値上がりや供給不足を招き、抗議デモまで起こっていると報じられています。

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 (お初にお目にかかります。孫の悠真(男児・9ヶ月)と、息子の嫁・恵理。自宅の庭の桜が満開)

 この動きに連動してお米の国際価格も上がってきています。
 日本は主食の米の国際価格が高騰しても、米そのものの輸入は、ミニマムアクセスによる80万トン程度と限られており、大きな影響はないように思われますが、米粉やアラレ、オカキなど加工調整品の入手に影響が及ぶと思われます。
 一昨年から極端に価格下落が続いてきた国内のモチ米は、元々総量が少なく価格弾力性がないため、国際穀物価格高騰の余波が、今年の暮れ、遅くとも来年の秋には現れ、国産モチ米が2倍3倍に跳ね上がる可能性も考えられます。

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 (種蒔・芽だし後に、プール育苗床に箱を並べ、有機肥料を撒いているところ)

 ところで、皆さんのご支援のお陰で我が農舎は心身共に豊かで幸せな生活を送らせて頂いていますが、国際穀物市場が高騰しているとは言っても、世界中のほとんどの農業者の生活は、先進国も発展途上国もどこも共に貧しく悲惨な状況です。
 今の高騰の大きな原因の一つは、中国の輸入増大ですが、食糧が不足気味の中で中国の農村はTVで見るように極貧で、農産物価格が上がったからとて農村生活がこれから好転することはありません。ですから農村の優秀な子弟は都市や他の産業に向かうため一生懸命勉学に努力しているのです。
 経済発展過程のこのような国々だけでなく、先進国でも同じです。
 例えば、春先に訪ねたオーストラリアもアメリカと同じように、サトウキビ農家も米農家も小麦、トウモロコシ農家も1000ヘクタール以上の大農場経営の農業者収入ですら地方の公務員給与に満たず、ほとんどの農家は貧しに耐えています。

 このように国際穀物価格高騰は、中国の農村の様が証明しているように、農村の貧困を改善することには直接的に結びつかないのが現実であり、これは歴史も証明しています。
 社会主義経済が崩壊して以来、世界の自由貿易はますます拡大しています。
 これにより世界の多くの人々は生活が便利になり幸せになったことは事実です。
 しかし、現在のWTO中心の自由貿易促進の世界経済運営は、農業だけでなく汗を流して働く種々の分野の人々の生活を脅かしていることも事実です。
 市場原理を頭から否定することは愚かなことですが、効率追求や市場原理だけで動く経済システムの欠陥の改善に世界中が叡智を傾ける必要があります。
 これは、自由貿易や市場原理によって割を喰った人々を救うためだけではありません。
 農業を例にすれば、自由貿易や効率追求一辺倒を続けていれば、農業生産が地球環境を破壊することに繋がります。
 また、一部の富裕層だけでは豊かな社会は築けません。このように市場原理の勝ち組の人も快適生活や生存すら脅かされるのです。
 この原因は、世界の経済学界の無能や貧困でしょうか。自由で公正で万人を幸せにする新しい経済システムを生む力を世界が持っていないからではないでしょうか。
 これらに想いを馳せたWTOのルールや共通価値観の確立が待たれるところです。

投稿者 kurose :2008年05月06日