H21年7月号通信(我が家の草対策)

草取り奮闘中!

 異常気象続きの中、今年は田植え時期から、その後も1ヶ月以上低温が続いています。
 この調子だと、今年はいよいよ冷害が来るのではないかと心配している農家も付近には多いようです。
 でも、我が家の田圃はその低温にもめげず、今のところ順調に育っています。
 田植え後の天候が好い年には 「イネミズゾウムシ」が多発し大打撃を受けるのですが、今年は低温のお陰でこのムシの被害がないのは嬉しいことです。
 イネミズゾウムシは40年くらい前にアメリカから名古屋港に輸入された牧草に潜入した外来昆虫です。
 上陸後は、、1年に、南には200Km、北へは50Kmの進度で生息域を拡げ、私たちの秋田には昭和60年頃から被害が見え始めました。
 この害虫は、外来種のため日本に天敵がなく、農薬を使う農家は平気ですが、無農薬栽培では、稲の根を丸坊主にされ、 半作以下の激しい被害を受ける時もあります。
 
 ところで、我が家では、田植え後の2ヶ月は、毎日毎日雑草と奮闘です。
 チョッと気を許すと、雑草が繁茂して文字通り「お手上げ」状態になる年もあります。
 でも、今年は息子も頑張るので今のところ、雑草とは、何とか互角の闘いを続けられています。
 今年は、6月中に3回目の除草機掛けと、パートさんによる手取りの草取りも全部の田圃を1回通り終えることができました。
 そして、月末から4回目の除草機掛けと2回目の手取り除草を始めかけました。

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 化学肥料や農薬を使わない米作りは、気が付けばもう4半世紀近くも続けています。
 この場合の病害虫は、冷夏の年の稲熱病と、イネミズゾウムシには困っていますが、それ以外は、 収量を抑えて稲を健康に育てることに徹すれば、秋田の冷涼な風土を生かした栽培でしのげるようになりました。
 でも雑草問題だけは未だに難問で、苦労の連続です。

 我が家の草対策・・・余り進歩ナシ

 上でもふれましたように 「無農薬栽培」は、雑草との「根比べ」です。
 今年は、一番上の写真のように、全部の田圃を「畦(アゼ)シート」で区切ることにしました。
 これは、除草機掛けや手取り除草の作業時には、田圃の水を落とす必要があります。
 このように、作業時に落水すると、たちまち雑草は大きくなり、草取りをしているのか、草を喜ばしているのか、判らなくなる場合もあります。
 このため、作業日数が延びた時の雑草繁茂を防ごうと、田んぼを小さく区切ることにしたです。
 区切るといっても1辺150メートル近くあるため、シートの設置も一苦労です。

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 除草機も、色々あります。
 有機仲間から「○○が良い」と聞けば、早速取り寄せ。
 「○○と調整すれば良い」と聞けば、溶接機や切断機、ボール盤を使って、改良や制作作業。
 でも、田圃へ持ち出せば、土の状態や苗や雑草のの状態の違いなどでなかなかうまくいきません。
 のろのろしていいると、2,3日で、雑草に負けるので、このような工作はいつも真夜中までの作業。

 では、冬など農閑期に準備すれば・・・・・と思われるでしょうが、 土の深さや、土の粘度などなど現場の微妙な状態に合致しないと使いものにならなず、その時期でないと調整不能が現実。

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 孫 は7月で満2歳。
 息子が田圃で除草機掛けを行っている所へ「行きたい。」と言い出したので、昨日、連れて行った時のスナップ。
 家から田圃まで15Km近く離れているので、車でつれて行く道すがら、やっと話始めたばかりのかたことで
  パパ、タンボ、 ガンバッテイルカナ」 
  「
パパ、オナカスイタカナ

    
などなど

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 今週末は、いよいよ「田圃公開と白神山地のブナツアー」 。白神山地自然遺産指定や林道建設阻止で頑張った白神の主のような鎌田さんに今回もガイドをお願いしています。 キッと愉しいツアーになると思います。
 何はさておき、当日の好天を祈っています。
 皆さんには来月号でレポートをお伝えします。

 

投稿者 kurose :2009年07月02日

H21年6月号(ウッドデッキ作りました。)

田植え完了・草取り開幕!

 季節はずれに「夏」が来て、数日すると3月並の寒さに逆戻り・・・・・
  今年は種蒔き時期から、ずっと荒れた天候が続いていますが、田植えは無事終わりました。

 付近の一般栽培は、ビニールハウスで苗を育てますが、我が家では露地で、 浅く水を張るプール育苗方式で苗を育てています。
 この方法を採ると、ハウス内のように温度が上がらないことと、水を張ることで病気の発生が抑えられ、 農薬消毒不要で苗を育てることができます。
 しかし、生育が少し遅れ、田植え時期も付近の農家より1週間から10日ほど遅くなります。
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 上の写真は、順に「種蒔き作業」 「路地に芽を出させた箱並べ作業」 下は、箱並べを終え、 有機肥料を施しているところ。
 今年は、私たちの地域の田植え最盛期の5月中旬は悪天候続きでした。
 ところが、我が家の田植えは、遅くなったお陰で、絶好の「田植え日和」が連日続き、快調に作業を終えることができました。
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 上の写真は、トラクターでの代掻き(シロカキ)作業と、その後の田植え作業のスナップです。
 代掻き作業では、何百羽、何千羽の「ゆりかもめ」 が乱舞する中での作業となっているところです。
 これは、付近の一般栽培より作業時期が少しずれることと、もう20年近くも「米糠」や「放線有機」などの有機だけで「無化学肥料」 を続けているため、土の中の生物が豊かになり、それをカモメが食べに来るからです。

 田植えが終わると、一段落するまもなく、7月末までの2ヶ月の間、除草機作業や手取り除草の最盛期に入り、忙しいことと共に、 管理作業に気を許せない時期に突入にしますが、7月第1土日は、ご案内のように「白神山地のブナの新緑ツアーと我が農舎の田圃公開」 を行います。
 ロッヂ宿泊には、まだ少し余裕があります。お忙しいでしょうが、時間の許せる方は、この機会に是非我が農舎をお訪ね下さい。

 我が家の自慢がもう一つ増えました。

         ウッドデッキ完成 

 次男が結婚して、農業を継ぐことになって今年で3年目になります。
 この4月には2人目の女の子が生まれました。
 上の子は、男児で来月で2歳になります。

 我が家の裏庭は、南面になっており、日当たりが好いので芝生の庭にしていましたが、 草取りが面倒な点と、上の孫が、昨年の秋頃より、走り回り始め、急に家の中が狭く感じられるようになりました。
 そこで、芝生を止め、リビングと一体で使えるウッドデッキを作ることにしました。 
 インターネットで調べてみると、最近はサッシメーカーが、腐り難く管理の楽なウッドデッキを各種出していることが判りました。
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 先ず、基礎コンクリートを打ち、水道工事やデッキを組み立て、 日曜大工店から仕入れた煉瓦で小さな砂場を作り、回りにタイルを敷きました。
 予算を切りつめようと、春先から、農作業の合間に、すべて手作り。予想以上に手間がかかりましたが、予想以上に好い出来映え。(自己満足)
 我が農舎を訪問下さる際には、バーベキューなどの場にも活用下さい。

 食糧自給率の低下。今年は農業農村基本計画の見直し年。総選挙の到来。 この3つが重なって、 昨年末より農政問題がマスコミで取り上げられる機会が増えています。
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 この写真は先月上旬、フジテレビの「報道2001」の取材陣が我が農舎に訪れたところです。
 丁度プラウ作業の最中でしたので、その光景をカメラにおさめていました。左はフジTVの黒岩さんです。
 先月のこの通信で褒めた石破農水大臣は、5月10日の日曜日の放映時にも、良いことを言っていました。
 ところが、その後の、小沢さん辞任で、鳩山民主党浮上の兆しが見える最近の政局の中では、結局、自民党も、 民主党と同じように日本農業の再生を目的とするのではなくて「選挙の票を集めるために・・・・・」税金・ 補助金をばらまいて農村の票を集める農政に流れる公算が高いのではないかと心配するところです。

投稿者 kurose :2009年06月01日

H21年5月号(農政が正常化され始めました。)

遅らせて種蒔きしました。

 4月に入って天候は少し回復しましたが、でも寒い日も多く不順でした。
 このため種蒔きは今までよりも遅らせて、4月22日と28日に行いました。 
 今年の春は3月中頃から吹雪の日があるなど寒かったのですが、桜は昨年よりは遅かったものの、 例年よりも早く咲き4月25日に満開となりました。

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桜と孫

 

我が村自慢の桜と菜の花ロード
孫も1歳と7ヶ月に成長しました。

 





 私たち一家が滋賀からこの秋田に移住した頃に、 裏庭に植えたソメイヨシノも30年余りが経ち毎年立派な花を咲かせます。
 今年は24日に田圃隣の数家族を招いて我が家の庭で花見会を行いました。
 この日は久しぶりの好天でしたが、天気予報によると翌日から寒くなって、東北地方では雪が降るとのこと、 花見会でも米作り中の天候を心配する話題が多いでした。

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我家の庭で花見会 (2009年4月24日)

 ところで、 最近一年おきに行っている世界自然遺産の白神山地の新緑のブナを訪ねるツアーを今年はJALとANAが定額給付金キャンペーンとして格安切符を出している下の時期に行います。
 羽田・秋田11.000円 伊丹・秋田12.000円ですが、切符購入は5月15日までとなっています。 またレンタカーも一日5.000円と超お得です。
   (割引航空券の発売締め切りまでにこの通信をお届けできない方にはお詫びします。)
 不景気で「そんな気分になれない。」という方も多いと思いますが、草取り最中の我が農舎の田圃などもご案内します。
時間に余裕のある方は是非ご参加下さい。
 

田圃公開と白神のブナの新緑を訪ねるツアー
     7月4日正午集合 ・ 5日16時解散

*前後日の我が農舎ロッヂで の連泊OKです。

 立派な田圃をご覧頂けるようにこれから苗作り田植えを頑張りながらお待ちしています。
 1.000円の高速割引料の活用など、この機会に我が農舎をお訪ね下さい。


 「農政」が正常化され始めました。

 前回の参議院選挙で民主党は、農家に「所得保障をくまなく行う。」と訴えて、 何十年間も保守・自民党に票を入れ続けた多くの農民の票も取り込んで圧勝しました。
 私は、二大政党に向かう政治構造が定着することが好ましいと思う「支持政党ナシ」に分類される人種ですが、 税金をバラ撒くことで票を集めようとする「小沢さん流」の政治手法にはガッカリさせられました。
 参議院選で敗けた自民党は、古い体質の農林族議員が息を吹き返し「小沢さんに負けてはならない。」と、 衆議院の解散を意識した減反強化や補助金のバラ撒きを始めました。

 前回の白神山地ブナの新緑ツアーの写真を幾つか貼っておきます。

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 私は、通信でこれらの状況を何度も取り上げ、また、 今年は農業農村基本法の基本計画の見直し年度に当たり、 票集めのための基本計画が打ち出されるのではないかと心配していることをお伝えしてきました。

 これらのことは、3月31日の朝日新聞の「みちのくワイド」で、改革知事の一人として注目され、 その後福田内閣で総務大臣を務めた増田元岩手県知事が、我が農舎を訪ね「農業王国を東北に築くために」 というタイトルで1ページ全面を使った巨大な特集にも大きく取り上げられました。
(掲載されなかった地域の東北六県以外で興味のある方はご連絡下されば、次のお米にコピーをお入れします。)
  また、asahi.comを訪問下さると、この記事の一部と私たち夫婦の写真がご覧頂けます。)   コ コ 
をクリック。

 一方、これらの動きとは別に、石破農水大臣は、昨年農水相に就任した直後に、農政の本質改革の姿勢を打ち出し「減反政策は限界、 根本的に見直す」と発言しました。
 しかし、党内の農林族議員から大反発を受けて、その後の発言はトーンダウンしてきていました。
 ところが、麻生内閣の支持率向上で元気が出てきたのでしょうか、4月17日に石破農相は、麻生総理も巻き込んで、 私が予想した以上に評価できる「農政改革の検討方向」を取りまとめて、農政改革関係閣僚会合での決定を取り付けました。 
 個別問題については、あやふやな点や全く評価できない点もありますが、農政改革についての基本的なスタンスや現状認識は、 今までに目にしたことのない本質をついたものであり、大いに評価できました。

 政策がどうであれ、農業者の高齢化や産業構造の激変で、 これから日本の農業は大きく変わらざるを得ない状況です。
 私の農業観では、農政によって、日本の農業が良くなることはありませんが、猫の目、無定見な農政は、 日本農業を破壊する強大な力を持っています。
 この意味で、今回関係閣僚会合で決定された「農政改革の検討方向」のスタンスが、農協や旧来の自民党農林族議員の圧力で後退したり、 農水官僚の既得権益保持のために骨抜きされないことを願って、石破さんにエールを送りたいと思います。

投稿者 kurose :2009年05月03日

通信H21年4月号 (カインの末裔(マツエイ))

暖冬から寒い春に

 今年の冬は、真冬日(マフユビ)となった日は、 ほとんどない暖かい日が年末以来ずっと続きました。
 ところが、南の地方から桜の開花予想が出だした3月中頃から、積雪はほんの僅かですが、真冬並みの吹雪の日や、 ミゾレや冷たい雨風の日が毎日のように続いています。
 例年ですと、我が村の苗を育てるハウス団地は、3月下旬には春休みの子供達も動員され苗床の準備で賑やかですが、 今年はまだ作業ができない状態です。

 ところ で、矢口高雄さんの「釣りキチ三平」 の映画が3月20日に全国公開されました。舞台は秋田です。
 その上、撮影場所は、皆さんに毎年ご支援頂いている馬場目川源流部のブナ植えの近辺で、三平が一平爺さんと暮らす実家も、 ブナ植え現地への最後の集落。100年前に建った茅葺きの「北ノ又」3戸の部落の中の1軒。(下の写真)
 映画には、 ブナ植えにおいで下さった皆さんにはご存じの場所が随所に出てきます。

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 ストーリーは非常にシンプルですが、映像では、渓流、ブナ林、 山里の風情など秋田の自然の素晴らしさが見事に現れています。
 岩魚(イワナ)や鮎の泳ぐ、三平が飛び込んだ綺麗な渓流は、馬場目川を伝って八郎湖に注がれ、 下流にある私たちの田圃の大切な用水の一部となります。

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 ブナ植えに参加された方だけでなく、どうぞ時間がある方は 「釣りキチ三平」の映画をご覧頂き秋田の豊かな自然を堪能し、「あきたこまち」のふる里に想いを馳せて頂ければ嬉しいです。

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カインの末裔と有機農業者の自立

 3月始めに今治市の有機農業全国集会に参加し「しまなみ海道」を初めて渡りました。今年は秋田も暖冬で暖かいでしたが、 瀬戸内の空や海の明るさや暖かさは格段で、この地に住む人々を羨ましく思いました。
 
 ところで、有機の集会に集まった全国の生産者には、農業関係の他の集会に集まる生産者とはどこか一味違った好感が持てます。
 このことを解きながら、お米をご利用下さる皆さんに「日本の農業・農村」の一面を紹介したいと思います。

 一般に生産者が集まる全国的な会合や、 農協や地域の農機具店などでの生産者同士の談話では、次のような展開が多く、耳を覆いたくなる時が再々あります。

1,どれだけ多くの収穫量を上げ、どれだけ儲けたか、という自慢や情報交換。

2,どのように狡く立ち回って高値で売ったか・・・‥・同 上。

3,機械を上手に使って、どれだけ手を抜いて楽して儲けたか・・・‥・同 上。

4,農政や農協への不満や憤りや愚痴。
(決して建設的な主張は微塵もない)

 だいたいこの4点のいずれかであり、面白いことに、 20年余り前にカリフォルニアの田舎のバーで長時間聞いたアメリカの稲作農民の会話も同じだった。
 有島武郎の「カインの末裔」の小作人は少々極端ながら、農民像の本質を的確に描いており、時代が変わった今でも、ほぼ通用します。

 これらは、「衣食足りて礼節を知る」という諺のように、彼らを一概に責めることは酷だという面もあります。
 しかし、経済的に豊かになった現在でも、全国的にも私の近隣でも、この傾向を持つ生産者が、いまだに多いのは残念ですが、現実です。

 ところが、有機を中心とした消費者の共同購入団体や、有機農業関係の会合で出会う生産者の中には、前述の一般的な生産者と比べて、 特に経済的に豊かではないにもかかわらず、彼らとは異質の好感度の高い生産者が結構多くいるのです。
 だから私は、これら有機農業者から学ぶことも多く、会合への参加を楽しんでいます。
 
 有機関係生産者の一部は、なぜ一味違うのか。私は、次のように推察します。

1,生産物は、農協などに頼らず、自らで販売する工夫や努力を行っている。

2,地域のしがらみや集団主義に迫害され、時には戦ったことで、これらから解き放たれ、 農協や農政の動きに左右されない農業経営を目指した努力を続けている。

 この2つは言葉を換えれば、「農協や農政や地域の集団主義に頼らず、すでに「自立」したり、 「自立を目指す姿勢」を強く持っている。」という違いです。
 その自立姿勢は、社会性を持つことに発展し、そして、仕事や生活の充実感が生まれ 「愉しい農業、楽しい生活」に繋がったものだと思います。

 そろそろ衆議院選挙です。自民も民主も、農業補助金で農民票を集めようとしています。
 これに惑わされる農民が消えた時に、日本農業にも再生の道が拓けるでしょう。

投稿者 kurose :2009年04月05日

通信H21年3月号(農業への新規参入報道と生産現場の実態)

天気も・政治も・経済も、みんな異常

CIMG0068-2  今年も異常な暖冬で、黒瀬農舎恒例行事の 「地吹雪体験とナマハゲ柴灯(セド)祭り」は、実施を見送るご案内をしましたが、2月の秋田は、やっぱりほとんど雪なしでした。
 異常気象を自慢しても始まりませんが、私たちの地域の1月・2月は、積雪は30†程度と多くなくとも、毎日のように地吹雪が吹き荒れ、 太陽の顔はほとんど見ず、日中の最高気温も0℃以下という真冬日(マフユビ)が続くのが普通ですが、今年の秋田地方気象台のデータでは、 0℃以下になった真冬日は「たった一日だけ」という有様です。

 ところで、冬の間は、稲の管理作業はありませんが、精米施設の整備工事を始め、農閑期を利用したお米作りの技術的な研究会や、 上の写真にあるような農業情勢の講演会、有機栽培技術など意見交換する会合など結構忙しい日々です。
 こうした時の話題は、減反問題など最近の農政の動きと、不況の中で農産物の供給過剰が加わり、 野菜や果物を始めほとんどの農産物の生産者価格の下落問題です。

 特にその中でも、生産者がとまどったり驚いていることは、 人件費など生産費が高くつく有機栽培農産物の市場が不況によって特に狭まり、今年は有機栽培を続けても、 生産した有機農産物の売り先が見当たらないので、有機栽培を止めたり、 有機栽培の面積を減らさざるを得ない状況になってきていると訴える生産者が出てきた問題です。
 このように、有機農産物はマスコミで取り上げられることが年々増えるなど消費者のニーズは高まっているものの、不況によって、 売れ行きは逆に落ちているのが実情です。

 我が農舎でも、有機栽培米の出荷総量は少し減少傾向ですが、近隣の生産者が嘆くような状況ではなく、 皆さんに知人友人など新しい方をご紹介頂いているなど、お陰でほぼ順調で感謝しております。
 安心安全や環境に配慮した食べ物の生産は、作ることは私たち生産者であっても、ご利用下さるなどのご支援がなければ成立できません。
 皆さんのご利用ご支援に、日々感謝している次第です。ありがとうございます。


 農業への新規参入報道と生産現場の実態

 派遣切り、リストラの雇用の場の創設として「農業への新規参入」の話題が最近マスコミに数多く取り上げられています。
 これらの報道は、私たち現場の者の眼で眺めると、誇張や空論が多く、生産現場の現実と遊離していて、がっかりするものが、 ほとんどだということに驚きます。
 一方で、ピント外れであっても人々に「農業」への関心を高めたり、現状改善のヒントに役立つこともあるかも・・・との期待も持っています。
 そこで、これら報道と農業の実体について触れてみます。
 
1,先ず、日本の農業純生産額は、20年前に6兆円余りだったものが、3兆円余に減少し、 農業従事者数も農家数も同様、この間に半減近くに減少。

2,現在の年齢別の農業就業者割合は、39歳以下が僅か8%余り、70歳を超える人が50%近くになり、 農村には若者がほとんどいなくなっているのが現状。

3,このまま推移すれば、20年後には、農業従事者は現在の1割程度に減る見込み。

4,また、最近人気が高いトマトを例にすれば、消費量は大きく伸びていますが、同時に、生産量はそれ以上に増えて、 生産者の手取り価格は5年前と比べると20%以上も下落して、トマト農家は困窮しています。

 リンゴの場合も、生産者手取り平均価格は、前年よりも20%下落。

 メロンや蘭など花という高度な農業分野の場合も、これらを目指す農家が増えて、生産過剰となり、このことで高級イメージが失せて、 売れ行き不振の悪循環になり、急激に価格下落。

◎以上を要約すると、農業は、農業以外の産業・職業に比べ、収入が非常に低く 「喰っていけないから農業を辞めた。」という人が急増しているということ。

◎一部の農業者は、農業を続けるために「高価な花卉やメロン、果菜などの高度な農産物分野に向かったものの、この新規分野も生産過剰で、 農業で喰って行くことは 簡単ではない。」と必死に頑張っている人が多いのが現実です。

 このように、農業従事者数が急減しているにも係わらず、 どの農産物も生産過剰で、価格下落が進んでおり、 今までのプロの農業者が「農業を続けたくとも、 農業で生活することはなかなか難しい。」そして「作物や動物を育てることは論理通りにはいかない。」 のが農業の実体ということです。

 こうした中で、素人が農業に新規参入して、簡単に成功するかのような「農業は有望分野だ。」などとの記事は、ほとんどが眉唾(マユツバ) ものだということが、これでお判り頂けたでしょうか。

 元来「農業」は、投入したエネルギー(人・物・金)に比した金銭的なリターンが、一番劣る産業に属します。

 でも、仕事の満足度は、お金だけではありません。 他の職業で得られない良さも農業にはあります。
 職業選択基準を、仕事から得られる収入と、仕事を通して果たせる社会貢献度や自立観などの和の大小とする健全な視点に立てば、「農業」は、 それほど捨てたものではなく、今の世の中ではオススメの仕事の一つに入る。と、私は思います。
 このような職業選択観を持ち、農業の産業的な現実を直視する新規参入者ならば、 キッと旧来の農民にはない新鮮な職業感覚を発揮して下さるでしょうから、これからの日本農業を拓くために、 必要な人材だと歓迎し期待しているところです。

投稿者 kurose :2009年03月01日