13年8月/マガモの活躍

7月の天候も絶好調・稲はすこぶる順調。 PDF版

田圃公開にご参加の皆さんがマガモ君を激励/黒瀬農舎無農薬あきたこまち圃場にて
田圃公開にご参加の皆さんがマガモ君を激励/黒瀬農舎無農薬あきたこまち圃場にて

先月に引き続き当地秋田は7月も稲にとって理想的な天候で経過しました。 苗作りの期間中は最悪の天気でしたが、田植以降の2ヶ月は素晴らしいお天気廻りで、我が家だけでなく近隣の田圃も今のところ素晴らしい出来映えです。 しかし、まだ道半ば。予断は禁物です。

今の時期は、茎の中で、そろそろ穂ができかける頃です。 これから穂が出終わるお盆過ぎまでに低温に見舞われると、花粉形成や受粉が十分出来ない「不稔(フネン)現象」となる「障害型冷害」が起こります。
また、その後の稲が稔る時期に晴天が少ないと、充実した米粒にならなかったり、台風被害など、秋の収穫まで色々の難関が続きます。これらのいずれも、自然を相手の仕事では、人智の及ばないものばかりで心配はつきません。

ところで、6月最終の土日に開催した「田圃公開と白神ブナツアー」は、今回は、毎年秋に植栽してきた馬場目川源流部の下刈り班も編制する予定でした。
ところが、冬の大雪と春先の洪水で、ブナの植栽地に通じる林道が大崩壊しており、この日までに復旧される見込みでしたが、復旧困難が確定しました。 このため、直前に急遽中止を決定。下刈り希望の方には参加を取り止めて頂くというアクシデントがありました。  参加下さった方々は、初日は全員マガモ君の活躍ぶりに感激下さるなど黒瀬農舎のお米作りをくまなくご覧頂きました。

夜は、スローフード運動で付き合っているムッシュ鈴木氏がボランティアでロッヂへの出張料理制作を申し出て下さって、マダイ、ヒラメなど地元男鹿沖で獲れた食材でイタリアンの素敵な晩餐会が出来ました。  2日目は、高齢者がいらっしゃったので東部白神の十二湖のブナ林を散策しました。このイベントに限らず、家族旅行などではどうぞ無料の我がロッヂをご利用下さい。

 

マガモ君たちは期待以上に頑張ってくれました。

網で囲んだ中で除草するカモ君
網で囲んだ中で除草するカモ君

囲い網などのカモを飼う種々の資材を、有機仲間から譲って頂けることになり今年初挑戦のマガモ活用の草対策。  除草作業に来てくれるパートの女性が高齢化して人手不足になり、困っていたため、初めてのカモ導入だというのに1200羽と大量導入しました。

写真のように、田圃の周りを高さ1メートル程度の網で囲んで放鳥しています。  網で囲んでいるとは云っても、地面との隙間に首を突っ込み、1羽が脱走すると、20~30羽の群れは、後に続き、そのまた、次の群れも脱走する事故が頻発です。  このため、朝夕田圃の見回りを欠かせませんが、100羽近くが脱走しているのを見付けると、最初の間は大あわてでした。  でも10日も付き合うと「脱走してもそんなに慌てることはない。」と感じるようになりました。

マガモは、脅さねば、鶏のようにバタバタ走り回ることはなく、映画などでの中国のアヒル同様に、群になってワイワイガヤガヤ動くだけで、落ち着いて誘導すれば、元の田圃に戻すことは案外易しいことが判りました。  概ね150メートル四方の1区画に250~300羽を放鳥していますが、写真右のように一角に餌場を設けています。

餌場の付近にたむろするカモ君たち
餌場の付近にたむろするカモ君たち

カモは、十分に餌を与えると、田圃に中を動き回らないため、餌は毎朝、腹七分目程度の補給とします。 しかし、給餌を求めて、人のいるところや、餌場付近にたむろすることが多く、150メートル向こうの畦にカモを行かせるため、人が時々畦を巡回する必要があるようです。

来年は、消費者の皆さんの中で、時間に余裕のある方がいらしたら、我がロッヂに逗留して、カモのお守り役をお願いしたいと思っています。  仕事は、朝一回の餌やりと、脱走見張り、脱走した場合の誘導収容、餌場の対角の畦にサンベットを置いて本でも読んで頂くこと。そうするとカモはそちらに移動して除草がくまなく出来る。また、外敵であるカラスなどにカモが襲われない。  体力も熟練度もほとんど要求されない仕事ですが、ロッヂから田圃へ通うための自動車免許があることが条件となります。動物は飼っていると愛情が湧き実に可愛いものですよ。

約45日の仕事を終え山形に帰るカモ君
約45日の仕事を終え山形に帰るカモ君

6月始めに放鳥したマガモは7月16日に集め、山形の購入先に引き取って頂きました。 このカモは11月末まで肥育され、カモ鍋用に使われるそうです。

導入した1200羽のカモは、回収時には500羽ほどに減っていました。その原因は、カラス、トビ、タカ、イタチなどに毎日10羽ほどずつ襲われたことが中心です。
また、カモは放鳥前のヒナの時に、飛び立たないように、翼の腱を折る措置がなされていますが、大きくなるとこれが治癒して、大空に飛び立ったものも1~2割はあって減ったようです。