14年8月/暑い時期のお米の保管

暑中お見舞申し上げます。PDF版

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我が家の田圃で活躍したカモ君たちは、生まれ故郷の山形に凱旋しました。

7月に入っても好天が続き、稲はすこぶる順調に育っており、もうすぐ穂を出し始める時期になりました。
また、先月号で詳しくご紹介した草取りを手伝ってくれたカモ君たちも7月中頃に生まれ故郷に帰りました。

ちなみに、カモ君たちの仕事ぶりをここでご披露して、カモ君たちに感謝の意を表しておきたいと思います。
何年間も除草剤を使って雑草を退治することを続けた田圃は、雑草の種が非常に少なくなります。(しかし、除草剤を一年に2回も3回も撒布して、雑草が大繁茂している田圃が各地にいっぱい見られます。十分な管理を行わない農家が増えているようです。)

このような田圃で、無農薬栽培を始めると最初の2,3年は除草剤を撒布しなくとも、雑草の大繁茂に苦しめられることは比較的少ないです。

ところが、我が農舎のように10年、20年の長期間、無農薬栽培を続けていると、的確な草取り作業を怠ると、たちまち稲が雑草に負けて、収穫量が3分の1になるという手ひどいダメージを受けることがままあります。

長年無農薬栽培を続けている我が農舎の田圃でのカモ君の力は、去年も今年も、草取りのパートの女性の雇用人員を200人~250人分も軽減させたいう素晴らしい省力効果を発揮してくれました。
カモの導入経費が別に必要ではありますが、現状では、金銭勘定以上にパートさんを集めることが難しくなって大規模な無農薬栽培そのものができ難い人手不足の状況が進んでいるのですから、カモ君の功績は甚大です。

このカモ君たちと、管理を一手に引き受けて下さったOさんに感謝、感謝です。

春先予想のエルニーニョによる冷夏、冷害の恐れは、ここまで辿り着けば、ほぼ心配はないでしょう。
でも、異常気象の中でこれからは台風シーズンを迎えます。10月の収穫を無事に迎えられるよう祈っております。酷暑の時期皆様どうぞご自愛下さい。

 

暑い時期のお米の保管などについて
お米のムシ
お米につく代表的なムシは2種類あります。

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コクゾウムシ

一番多いのはコクゾウムシの成虫です。このムシは、ゴマ粒のような黒褐色で、よく見ると口が象のように長く飛び出ており、この姿から穀物の象=コクゾウムシとなりました。米粒に穴を開けるように食害します。

もう一つはコクガの幼虫です。幼虫が小さい間は、5ミリ程度の白いウジ虫です。米粒を食害しながら、幼虫は、蚕のように口から出す糸で米粒を紐状に繋いでいきます。
成虫になると白褐色の小さ目の蛾となって、お米を離れ、部屋中の薄暗い所を好んで飛び回ります。

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コクガの幼虫

いずれも保管温度が30℃近くになると多く発生します。
発生した場合は、コクゾウムシの場合は、お米を新聞紙の上などに薄く広げて、日陰に1,2時間干すと、どこかへ逃げていきます。(直射日光に当てると、お米がまずくなります。)
コクガは、手や、割り箸で繋がった米粒の固まりを幼虫と一緒に取り除いて下さい。

両ムシ共に、手や皮膚に触れても、噛まれたり、かぶれるなどの毒を出すことはなく、また、誤って食べたとしても身体に害はありません。

お米のカビ
お米のカビは25℃以上で、湿度が高くなると発生が増える傾向がありますが、気温の低い冬期間でも、湿度が高かったり、お米を移動した時などの温度変化で米粒の表面に結露が起こりカビが出ることがあります。

カビは、黒や赤、或いは褐色、緑などその時発生したカビの種類によって色や、形状は様々です。また、見た目ではわからなくても、洗米した時に水が黒ずんだり、炊き上がって炊飯器を開けた時の臭いが好くない、ご飯がパサつく、風味がないなどの時も、軽いカビが出ていることが原因の場合もあります。

ただ、日本やアメリカなどのお米のカビには、タイなど東南アジアの暑い地域のお米のカビにある「アフラトキシン」を始め危険な発ガン物質は含んでいないことが定説になっていますので、身体への心配はありません。

お米は生ものです。保管にはご注意を!
美味しいお米の水分は、小麦粉や乾麺よりも2~3%高い15~16%あり夏場の長期の常温保管は、ムシやカビを発生させると共に、ムシやカビが出なくても味を落とします。

お米は「生もの」「腐る物」と思って付きあって頂ければ有り難いです。
真空パックなどの処理がなされていない包装や、真空パックを開封した場合は、夏場は1ヶ月程度で食べ切るようにお願いします。
また、25℃以上の所に、長くおく場合は冷蔵庫の野菜室に乾かないように密閉して入れて、使うときは結露しない間に早めに冷蔵庫に戻すように心掛けて下さい。

 ご飯の味は、お米の水分が15%を切ると極端に落ちる傾向がありますので、美味しいご飯を召し上がって頂けるようにお米の水分は16%近くを目標にしていますが、条件や機械の精度で0.5%程度の誤差は避けられないのが実情です。
ところが、ムシやカビの発生はお米の水分が0.5%上がる毎に倍増する傾向があります。
このため、水分管理や保管中の結露などの事故や乾燥ムラなどを起こさないように注意し、出荷時のチェックに努めていますが、その確認モレや、真空包装でない場合には、輸送中の環境によって、お米の水分が高まったりしたことで、お届けしてからのムシやカビの多発を招く原因になる場合も皆無とはいえません。
このような訳で万一到着後直ぐにムシやカビの多発や、お米の味が極端悪いと感じられた場合は、以後の改善に役立てる為にも、恐縮ですがご連絡頂ければ有り難いです。
 また、お米のお届けから2週間以内にご連絡頂いた場合は代品をお送りします。