15年2月/消滅可能性都市と大潟村

この冬は、早い雪でしたが、その後「暖冬」です。PDF版

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80ccの小型スノーモービル。モービルの後ろにソリなど何台も繋いで雪原を走れば気が晴れます

この冬は、寒くて雪が多い厳しい冬になるのではないかと心配していました。
なぜならば、例年ならば、本格的な積雪は早くてもクリスマス過ぎですが、この冬は12月始めに大雪が来て、正月三が日までに、数度も除雪機を動かす必要があったからです。

ところが、その後正月明けからほとんど雪が降らず、中旬には雪もほとんど消え、日によっては早春並みのポカポカ陽気の日まで出現する状態が1月末の今日まで続いています。

上の写真は1月10日、東京から小学1年生のお子さん連れでロッヂを訪ねて下さったSさん一家に、かろうじて残っていた残雪の上を、我が農舎のスノーモービルで走って頂いた時のスナップです。

この小型のモービルは、雪のない地域から冬にお訪ね下さるご家族連れや、我が家の孫たちを遊ばせるために手に入れて、11月にエンジンの整備など準備万端整えましたが、今年は雪が少なく、今日まで2、3度使えただけで、ほとんど出番がありません。

ところで、Sさんご一家は2度目のロッヂご来訪。前回はこのお子さんが2才の時。

家内がお出迎えして、ロッヂのホールに案内すると、5年前に遊んだロッヂにあるオモチャを思い出して喜んで下さったとのこと。
お米をご利用下さる方の逗留空間としてロッヂを準備し、お迎えする私たちにとって、このように再訪下さることは一番嬉しいことです。

今年は暖冬のようですが、雪の多い厳寒期に、飛びっきり広~い田圃の雪原を、モービルで飛ばし、雪と遊ぶ醍醐味は、子供だけでなく大人にとっても愉しいものです。
十分な接待はできませんが利用料無料です。機会があればどうぞお越し下さい。

 

消滅可能性都市問題と私たちの村・大潟村

tl150202昨年、日本創世会議(増田寛也座長)が発表した「消滅都市予測」において、秋田県の秋田市を含めた大潟村以外の全ての市町村が「消滅可能都市」と予測された中で、大潟村は、全国的にもトップクラスの「生き残れる自治体」とされました。

いま日本は、少子化や地方から首都圏などへの人口移動に歯止めがかからず、また、総体的な人口減少にもおののいています。
このため地方創世対策が急務となっており「消滅都市」の話題は年が明けても益々盛んです。そこで、注目を集めた「大潟村」の実態などを少し紹介したいと思います。

昨年5月に日本創世会議は全国の半数に当たる896自治体を「消滅可能都市」に指定して早急な人口対策を促しました。
地域が消滅することは当然あり得ませんから「消滅可能都市」との表現は誇張的ですが、何らかの対策を採らねば、加速度的に人口が減少して「将来的には自治体運営が出来なくなる恐れがある。」ということを指しています。

この度の人口動向予測は、次の前提に寄っています。

①基準年を2010年、予測年を30年後の2040年。
②20~39才の女性人口の増減率推計。
③推計根拠は、子供の大半をこの世代の女性が生んでおり、この「若年女性人口」は人口の「再生産力」を示す指標であり、次の世代の人口を左右するという考えに寄ります。
④また、20~39才までに約30%の人口が大都市に流出するという前提。

この結果、

①2010年に比した2040年の20才から39才の女性人口が、半分以下に減少するのは、全国の約1700市区町村の内の半数の896自治体と推計された。
②減少率が一番高いのは群馬県の南牧村のー89.9%。30年間で若年女性の数が10分の1になるという恐ろしい予測です。
③秋田県は前述の通り大潟村以外の全市町村、そして、青森、岩手、山形、島根の4県は8割を超える市町村に消滅の可能性があり、
④また、地方とは異なる原因だが、首都圏においても豊島区は数値ではー50.8%と消滅可能都市に入っています。
⑤一方で、上表の右欄のように、石川県・川北町と我が大潟村は、30年後に若年女性人口が、逆に15%以上増加すると予測されています。

大潟村の場合は、大規模稲作モデル農業の村として、全国各地からの移住者で構成された村であることで、旧来の農村にみられる集団主義や保守的なしがらみに縛られることが少なく、多様な価値観が混在する近代的なコミュニティーが創られたことと,幾分所得水準も高かったことで、若い女性が闊達に生活でき易い基盤があったためと思います。

しかし、全人口が三千人を少し超える程度の極小規模自治体であり、少人数の増減によりデーター予測はたちまち覆る可能性をはらんでいます。
実際にも、昨今は急激に農業情勢が悪化しており、今後数年の間に離農離村者が急増して、近々に消滅可能自治体に転落する恐れもぬぐえないのが実情です。

また、我が村の廻りは、この20年で人口が半減した村や町がいっぱいあります。

都市部から移転してきた縫製や弱電関連企業が「安い物を供給するのが善」という経営観によって、海外移転したり移転できない企業は事業停止したことで、働く場が無くなったことが主因です。経済合理性はコスト低減の追求だ。という従来からの短絡的な価値観を転換して、内需拡大に本気で取り組まねば地方の創世は無理のようです。