16年7月/草との戦いの毎日

カモ君たちは大活躍。稲の生育もほぼ順調です。PDF版

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山形県のカモ農場からマガモ1000羽到着2016.6.6

田植え後は稲にとってほぼ好適な天候が続いています。
例年お世話になっている山形県・船形町のカモ生産農場のカモの産卵が今年は暖かい春が早く来たことで、孵化作業も前倒しとなって、例年より早く生まれた大き目のカモが助っ人に来てくれました。

最後の田植え日から数えると1週間足らずだったので、苗が完全に根付くまでの間カモを放鳥せず、田んぼに隣接したカモ小屋で数日囲うことにしました。
ところが、囲いが不十分だったことと、カモが大きくて元気な働き者だったのでしょうか、翌朝には勝手に田んぼに飛び出してセッセと草取りを始めました。

その結果、前年までの除草効果に比べて数倍も除草の威力を発揮してくれたことは良かったのですが、活発なカモ君たちの動きによって、十分に活着していない苗が相当量浮き上がるなどの問題も出ています。でも、当方としては、働き者のカモ君に文句が言える立場ではありません。

また、昨年までは、ボランティアのOさんが、ゆったりと愛情をこめて管理して下さったので、Oさんが餌を与えると、カモ君たちは一斉に餌場に集まったり、Oさんが田んぼの畦道を歩くと、ガーガーと群れになって付いて廻っていました。
しかし、今年は他の作業の合間のあわただしい管理となったため、餌を与えようと人が近づくとカモは逃げ出し、人影のない時に餌をついばむなどカモ君たちは一向に人になつきません。。

このような状態であっても、除草効果も上がっており今のところ特に問題はありませんが、今月の中頃にカモ生産農場が引き取りに来る時に、果たしてうまく集めることが出来て、カモ君たちを全員無事古里にお送りできるだろうかと心配しているところです。

 

田植え後は今年も草との戦いの毎日でした。

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今年のカモは元気者2016.6.25撮影

先月・6月は無農薬のお米つくりにとっては、連日雑草との戦いのいわば初戦期です。
この初戦を優位に運ぶと、秋までの雑草との戦いをほぼ有利に進めることができるので、手を抜くことができません。

長年無農薬・有機栽培をしていると、この初戦に破れ、延べ数百人のパートの女性の応援を求めても、収穫時に草ボーボーで、稲が雑草に飲み込まれたり、雑草のために日当たりや風通しが悪くなってイモチ病などの病気に冒され大減収したことも数度あります。

10年くらい前までは「初戦」に失敗しても、毎日20人、30人のパートの女性を草取りに頼むことができ、雇用費の出費を覚悟すれば、人海戦術によってその後の戦いが苦しくとも進めることはできましたが、最近は高齢化・人手不足で、この「初戦突破」が天王山です。

要するに、除草農薬を使わない場合は、大きくなった雑草を機械や道具、或いは人手で取るのではなく、田んぼを限りなく平らに整地し、深く水を張る。有機資材を散布してその醗酵により表層をドロドロ状に保つなどの工夫によって、雑草の発芽を抑えたり、発芽直後の雑草が根付かないようにすることがコツなのです。

カモ君たちに期待しているのも、雑草を食べるのではなくて、田んぼを泳ぎ回ってくれることで、発芽した雑草が根付かなくなる効果を狙っているのです。

雑草の根付きを防ぐには他に、除草機掛け、チェーンを引き回す、竹ボーキで表土を掻き回すなど種々の機械や道具が考案されています。しかし、いずれも完璧なものは、ありません。

時たま「抜群の効果があった。」という情報を得ると、直ぐに試してみますが、さっぱり効果がありません。効果があったという情報源を詳しく調べると、前年まで除草剤を使い続けており雑草の種が少ない田んぼの事例であった。・・・・・というのがほとんどです。

我が農舎でも、色々の機械を購入したり自作するなど今までに膨大な時間や経費を費やして来ましたが、未だに納得できる方法は見つかりません。均平、深水、有機醗酵、除草機、カモ、そして最後は人海戦術を組み合わせてどうにかしのいでいるのが実情です。

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黒瀬友基考案のダンポールを使った除草試作車

その中でホットニュースは、上の写真の友基発案の黒瀬農舎自作の新除草機です。
5,5メートルの長いアルミ角パイプにダンポールと呼ばれているガラス繊維を樹脂で固めた直径4ミリ、長さ50センチの棒を、約1センチ間隔で取り付け、フロートで浮かせた除草装置です。これは、チェーンや竹ボーキを引き回すのと同じように土の表層を攪拌する効果を狙ったものです。
田植えの翌日から製作を始め、日中は田んぼで試行し、夜は遅くまで作業場で骨組みの溶接をやり直したり、エンジンをつけるなど連日連夜改良を重ねましたが、結局動力はなしで、機体をポリのフロートに乗せ、浮かせて人力で押して歩く方法に落ち着き、試作機がほぼ完成したのが6月15日でした。

幅が広く1日3ヘクタールの高能率な処理ができて、稲への被害もなさそう。また、発芽直後の雑草が根付くことを防ぐ効果も相当ありそうです。でも、完成が遅かったので、今年は、それまでに発芽して大きくなった雑草への効果は乏しいようでした。

来年は田植え直後の雑草の発芽前から、2、3日ごとに、6月中に10回余り動かせば、完璧でなくても、補完、補助装置としての効果を発揮するのでないかと期待しているところです。
今まで何度も何度も失敗ばかりの歴史。永遠の課題。夢が実現できるかどうか来年が楽しみです。