17年2月/米作りの工夫

雪国の当地にやっと雪が来て、何だかホッとしています。 PDF版

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雪が少なくスノーモービル遊びも、ほとんど出来ません。 2017.1.28

暖冬だと言われていたこの冬ですが、成人の日頃から寒波が来て、中旬以降には雪が少ない西日本方面にも大雪が降ったとTVで報じられています。

当地は、3年続きで雪がまったくないまま新年を迎え、秋田に数多くあるスキー場のほとんどが正月中は雪なし休場でした。

我が農舎で年末、年始にスノーモービルなど雪遊びをしようと、東京から親子3人連れでロッヂに逗留下さったSさん一家には申し訳なく残念でした。そこでSさん一家は、秋田でやっと滑降可能な内陸部の阿仁スキー場まで、車で1時間半ほどかけて連日通われる羽目になりました。

しかし、正月も10日過ぎから当地にも3年ぶりに雪が積もり始めました。

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雪が少なないとはいえ、吹き溜まりや屋根からの落雪排除には、除雪機の威力に感動です。  2017.1.28

雪が降ると除雪に労力が割かれたり、交通混乱など、雪はあるよりも、無い方が日常生活上は快適な筈ですが、雪国に雪がなかった昨年、一昨年の2年間の冬は何だか落ち着かず、雪が積もれば、ホッと心が和むのが不思議です。

2月には入れば、もっと本格的な雪や寒さが来るかも知れませんが、今年の1月は関東関西や山陰などが「記録的な積雪」と報道されている中で、当地の1月は最高で30cm程度の積雪であり、またその雪も、数日で融ける状態。
昔のように「道路は冬中アイスバーン」とか「根雪」になる状態ではなく、村を取り巻く湖の氷上でのワカサギ釣りもできません。

1月20日頃より田んぼの雪原ではスノーモービルが、やっと走れるようにはなったものの、土日など学校の休みの日に、そこに行くまでの道路に雪がある日が少なく、孫たちのスノーモービル遊びが十分できない状態です。
これから本格的な寒い時期に入ります。どうぞインフルエンザなどにお気をつけてお過ごし下さい。

 

頑なに国産米の本来の使命を求めて工夫を重ねています。

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田植え直前に有機肥料を田んぼの表面に撒く手作り散布機 2017.1.20

以前にも何度か取り上げていますが、外の作業が出来ない冬の時期は、毎年お米の精米出荷や除雪以外に、無農薬栽培に使う機械や道具の修理や改良工作に大忙しです。

さて、この数年、世の中の不景気と、海外農産物との価格差を縮めるため、生産コストの低減と販売価格の低下に取り組むことが「近代農業経営のトレンド」になっています。

例えば、お米作りの場合に、同じ面積で、3割り増しの収穫物を得ようとすれば、面積当たりの生産費は最高でも1割足らずの増加で済みます。
これを生産物の重量当たりの生産コストに換算すると、生産費は2割余り下げることが出来るメカニズムになります。
化学肥料を沢山与え、稲を栄養豊富にすると収穫量が増やせます。しかし、稲を肥満状態にすると、少しの天候不順で病気や害虫に弱くなります。
そこで、病気や害虫が出ないように、先ず予防農薬をいっぱい散布した上で、化学肥料をどんどん与えます。さらに栄養過多にすると、予防していても病気や害虫がでます。そこで再び、これを叩く農薬を散布します。また、最近では、背丈が伸び稲が倒れるのを防ぐ農薬まで開発販売されており、この農薬も使って、頑なに「増収」に励み生産コストを下げる。まさに「農薬と化学肥料まみれで国産米を守る!」のが近代稲作のトレンドとなり、環境上も健康にも問題です。

一方で、我が農舎のような無農薬のお米作りは、農薬や化学肥料を使った栽培に比べると、収穫量がすこぶる少なくなり、また手間暇がかかります。
農薬を使わないと、収穫量が少なくなるというメカニズムは、病気や害虫が発生しにくい健康な稲=栄養過多にしない栽培方法をとらなければならないからです。
健康な稲を作るには、栄養過多にしないことと共に、土壌中の微生物の力を借りるために化学肥料を使わないなどの土作りに努めることも大切になります。

しかし、農薬の中でも、草取りの労力を減らす目的の除草剤を使用しない栽培は、放置すれば、雑草まみれになり収穫不能になるので、殺虫殺菌農薬を使わない以上に大変です。

我が農舎では、数年前からマガモを1ヶ月あまり田んぼに放鳥していますが、これも「マガモを放てばいい」というものではなく、田んぼの入念な均平や代かきの改良、水管理など、マガモの活動を効率的な除草・抑草に結びつけるための補完対策を的確に行うことが必要です。
また、マガモに頼るだけでなく、早期の除草機や手取り除草など、幾つもの方法を取り混ぜて、除草剤を使わない雑草対策の工夫や改良を毎年続けて、しのいでいるのが実情です。

上の写真は、農機具店から中古の田植え機を無償で貰い、ヤフーオークションで3万円で手に入れた小型の肥料散布機(新品で30万円程度)と、倉庫の片隅にあった古い4馬力のガソリンエンジンを組み合わせ、田植えの直前に、有機肥料の一部を田んぼの表面に散布して、散布した有機の発酵で、雑草の発生初期に表土をドロドロ状にして、マガモや除草機による抑草の効果を更に上げようとして、中古の田植え機をベースに製作した散布機です。

この作品の製作には正月明けから2週間費やしましたが、溶接機やボール盤など金属加工道具は以前から持っていますが、今回は隣の友人がこれもヤフオクで手に入れた旋盤を使わせて頂き大いに助かりました。

春まで、まだ幾つかの除草道具や機械の改良や製作が残っています。果たし期待通りの結果が得られるか。今までの安打率3割り程度の低打率ですが、夏の結果が愉しみです。
いずれにしても、我が農舎が、このような時代逆行のコストが高いお米つくりを頑なに求めて行けるのは、お米をご利用下さる皆さんのご支援のお陰だと日々感謝しております。