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17年5月/謙虚に有機を科学する

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暗渠敷設も順調で、種蒔きも無事終えられました。PDF版 】

「暗渠施工作業」並んでいる袋は籾殻。掘削機の後ろから出ているのは、ポリパイプ  2017.4.10撮影

「暗渠施工作業」並んでいる袋は籾殻。掘削機の後ろから出ているのは、ポリパイプ  2017.4.10撮影

今年の春の天候も、急に暑い日があった次には、2ヶ月も戻ったような寒い日が続くなど、余りよろしくありません。
でも桜は、例年より数日早く、4月26日頃に満開になりました。

先月号でご紹介した「暗渠」(アンキョ)敷設の作業は、天候の合間をみて、種蒔き前に無事終えることが出来ました。

写真のように、幅30センチ、深さ0.7~1mの溝を、トラクターに取り付けた掘削機で掘り進め、一番下に排水のための直径8センチの穴のあいたポリパイプを入れ、その上は籾殻で埋め戻す。
田んぼの落水時期には、延長150mのポリパイプの末端に取り付けた栓を開放すると、土中の水が、籾殻を通過し、ポリのドレンパイプを伝って、排水され、田んぼが乾きます。
ポリパイプがない時代は、素焼きの土管で、籾殻の変わりは、竹、雑木の枝、葦などでした。籾殻は、木の枝などに比べ、入手や作業性も良く、また、籾殻には、珪酸の含有量が多く、腐りにくく、暗渠効果が10年近くも長持ちするという利点があります。
また、籾殻の代わりに、砂利などを使うと、粒子の細かい当地のような土質では、濡れた土粒が、砂利などの間隙に詰まって、排水効果を妨げる。すなわち、籾殻の「腐り難いが適度に腐る」点が最適だということが、地域の人々の長年の経験によって判明しました。

しかし、籾殻の必要量は膨大で、10a分のお米の収穫量から得られる籾殻で、暗渠敷設できる長さは10m足らずです。先日行った暗渠はわずか5本でしたが、昨秋収穫したも米6ヘクタール余りの籾摺り分を全部消費。

暗渠敷設は、普段は廃棄に困るなど、普段は邪魔者になっている籾殻の確保や袋詰め運搬作業に、毎回大半が割かれるのが実情です。

 

「謙虚に有機を科学する。」姿勢が、有機農業には特に大切のようです。

「苗箱並べの作業」30年前に植えた紅山桜と紅吉野桜が満開の苗場で育苗作業  2017.4.25撮影

「苗箱並べの作業」30年前に植えた紅山桜と紅吉野桜が満開の苗場で育苗作業  2017.4.25撮影

今年の種蒔きは、第1回目は4月22日に半分余りの2500箱蒔き、残りは28日行いました。
今年のお米作りの本格的な作業シーズンを迎え家族一同張り切っています。

稲作は日本の歴史の中では縄文時代後期、今から2500年前に始まったとされており、私の米作りも40年を超えました。
ですから、米作りは労働の苦労はあっても、技術的には、とっても簡単にできるはずですが、毎年のように何らかのトラブルが発生したり、十分満足できる結果にはならないず「毎年一年生」が現実です。

稲は生物であり、また、天候など自然環境の影響を常に受けますから、それら時々の微妙な条件変化によって、秋の収穫時に豊作や不作、或いは味の不具合などに結びつき、その上、その結果を検証してみても、幾つもの条件が絡み合って生じた結果である場合が多く、原因を明確に突き止めることが出来ないことが多いです。

ですから「毎年一年生」のような謙虚さを持たずに、植物栄養や植物生理などの基礎学力に長けているからなどと、知識先行の決め付けた対応をすれば、必ずしっぺ返しにあう事が多いです。

特に我が農舎のように化学肥料や農薬などケミカルでのコントロールを行わない栽培では、このことにことさら注意が必要です。そして、同時に、因果関係の仔細な追及は怠らず、かつ、原因を早計に決め付けないで、その経過などを次に生かす努力が大切です。

大地の恵みに感謝する姿勢と「有機を謙虚に科学する」という2つが大事のように思います。
こうした中での援軍は、百姓仲間の経験談やアドバイスです。十人十色。百人百色。米作りは、自然環境に晒されており、どの作業や栽培管理も、その時期にしか行わず、再現試験は翌年以降のその時期しか行えません。百人の百姓がそれぞれ異なった方法の作業や管理を行った結果を教えて貰うことは、百年かかる実証再現試験に等しい価値があるのです。

「温湯消毒作業」自作の「籾のお風呂」で、農薬を使わない種子消毒、2017.4.10撮影

「温湯消毒作業」自作の「籾のお風呂」で、農薬を使わない種子消毒、2017.4.10撮影

先日も、北海道の未知の農家から電話がありました。「黒瀬農舎のHPで、有機の温湯消毒の自作装置を見た。自分も造りたいので詳しい方法と、効果や問題点を教えて欲しい。」とのこと。

私も、多くの百姓仲間に、沢山のことを常に教わり、感謝しています。この申し出に喜んで応えました。古い灯油給湯ボイラーを利用し、正確に60℃の湯温をキープできるセンサーと、お湯を均一に循環させるポンプの組み合わせによって、一度に大量の籾が処理できるように自作した写真の「籾のお風呂」です。

温湯消毒は、昭和初期からの古い技術ですが、60℃10分の的確な処理でも、病気が出ることがあり、その原因が百年近く判りませんでした。それが、つい数年前に、消毒によって、ほぼ無菌状態になった種籾は、病原菌の再進入がしやすい。処理後の籾の取り扱いが雑で、倉庫などの籾殻のチリなどにいた病原菌の進入により再罹病したことが原因である。という、実に単純だったことが、やっと突き止められた。という歴史があります。このことは、まだ多くの生産者が知らないままですので、そのことも伝えておきました。

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