17年6月/今年の米作り開始

田植えがスタートしました。日曜日は一家7人揃って田んぼです。【 PDF版 】

「田植えは順調」田植え初日は、日曜日。3人の孫も田んぼ。主役は一番下の志穂になりました。  2017.5.21撮影
「田植えは順調」田植え初日は、日曜日。3人の孫も田んぼ。主役は一番下の志穂になりました。  2017.5.21撮影

百姓仕事は、真っ先にお天気と相談です。
特に、田起しの時期と、稲刈りは雨が降ると仕事ができず、気が焦ります。

今年も農薬や化学肥料を一切使わない苗は、ほぼ順調に育ち、4月22日に種蒔きしてほぼ1ヶ月育てた苗を5月21日から植え始めました。

田植えスタート日は、丁度日曜日になり3人の子供たちも田んぼです。
そして、毎年この田植えの時期になると、その子供たちの成長変化に気付きます。
今年の田植えでは、大はしゃぎの主役は、一番下の幼稚園児の志穂になりました。

小学4年生の男児・悠真は、もう田植え機に遊び乗りすることはなくなり、苗箱運びなどの手伝いを黙々と行うようになりました。
子供の成長は実に早く、年に一度の田植え毎に、子供たちがあっという間に大きくなったことに今更ながら気付き、そして驚きます。

この日も、夕方まで手伝ってくれる予定でしたが、3時前には小2の花穂が用水路に落ち、全身ずぶ濡れとなり、母親共々戦線離脱で帰ってしまい、当て外れとなりました。

ところで、今年のお米作りで一番心配していたことは、昨年秋以降には、大陸からの渡り鳥が持ち込む鳥インフルエンザが発生し、貴重な鳥類が罹病した動物園の休園や大規模養鶏場の殺処分があちこちで発生したことです。

万一、山形県の鴨農場の親鴨が鳥インフルエンザに罹れば、今年の採卵ができず、我が農舎は、マガモ君が手には入らないことになります。
春先以降鴨農場と連絡を取り合っていますが、幸運にも無事で、田植えが終わり、数日した6月10日前には、草取りの大きな助っ人として馳せ参じてくれるようで期待しています。

 

エシカルな皆さんに支えられ、今年のお米作りも無事始まりました。

「レベラー作業」レザー光線付のレベラーで、田面を均一に均す作業。作業機のポールは受光機      2017.5.8撮影
「レベラー作業」レザー光線付のレベラーで、田面を均一に均す作業。作業機のポールは受光機      2017.5.8撮影

今年の種蒔きは、第1回目は4月22日に半分余りの2500箱蒔き、残りは28日行いました。
今年のお米作りの本格的な作業シーズンを迎え家族一同張り切っています。

稲作は日本の歴史の中では縄文時代後期、今から2500年前に始まったとされており、私の米作りも40年を超えました。
ですから、米作りは労働の苦労はあっても、技術的には、とっても簡単にできるはずですが、毎年のように何らかのトラブルが発生したり、十分満足できる結果にはならないず「毎年一年生」が現実です。

稲は生物であり、また、天候など自然環境の影響を常に受けますから、それら時々の微妙な条件変化によって、秋の収穫時に豊作や不作、或いは味の不具合などに結びつき、その上、その結果を検証してみても、幾つもの条件が絡み合って生じた結果である場合が多く、原因を明確に突き止めることが出来ないことが多いです。

ですから「毎年一年生」のような謙虚さを持たずに、植物栄養や植物生理などの基礎学力に長けているからなどと、知識先行の決め付けた対応をすれば、必ずしっぺ返しにあう事が多いです。

「代(シロ)かき」無農薬栽培成功の大きな秘訣。それは、限りなく平らに代をかき、雑草を防ぐことです。2017.5.19 撮影
「代(シロ)かき」無農薬栽培成功の大きな秘訣。それは、限りなく平らに代をかき、雑草を防ぐことです。2017.5.19 撮影

特に我が農舎のように化学肥料や農薬などケミカルでのコントロールを行わない栽培では、このことにことさら注意が必要です。そして、同時に、因果関係の仔細な追及は怠らず、かつ、原因を早計に決め付けないで、その経過などを次に生かす努力が大切です。

大地の恵みに感謝する姿勢と「有機を謙虚に科学する」という2つが大事のように思います。
こうした中での援軍は、百姓仲間の経験談やアドバイスです。十人十色。百人百色。米作りは、自然環境に晒されており、どの作業や栽培管理も、その時期にしか行わず、再現試験は翌年以降のその時期しか行えません。百人の百姓がそれぞれ異なった方法の作業や管理を行った結果を教えて貰うことは、百年かかる実証再現試験に等しい価値があるのです。

「田植えは昼食」田植えは、家族7人、昼食も田んぼで賑やか。 2017.5.21撮影
「田植えは昼食」田植えは、家族7人、昼食も田んぼで賑やか。 2017.5.21撮影

先日も、北海道の未知の農家から電話がありました。「黒瀬農舎のHPで、有機の温湯消毒の自作装置を見た。自分も造りたいので詳しい方法と、効果や問題点を教えて欲しい。」とのこと。

私も、多くの百姓仲間に、沢山のことを常に教わり、感謝しています。この申し出に喜んで応えました。古い灯油給湯ボイラーを利用し、正確に60℃の湯温をキープできるセンサーと、お湯を均一に循環させるポンプの組み合わせによって、一度に大量の籾が処理できるように自作した写真の「籾のお風呂」です。

温湯消毒は、昭和初期からの古い技術ですが、60℃10分の的確な処理でも、病気が出ることがあり、その原因が百年近く判りませんでした。それが、つい数年前に、消毒によって、ほぼ無菌状態になった種籾は、病原菌の再進入がしやすい。処理後の籾の取り扱いが雑で、倉庫などの籾殻のチリなどにいた病原菌の進入により再罹病したことが原因である。という、実に単純だったことが、やっと突き止められた。という歴史があります。このことは、まだ多くの生産者が知らないままですので、そのことも伝えておきました。