17年7月/6月は異常低温

今年の田植えは、田んぼが乾かず、遅くまでかかりました。 PDF版

「田植えを終えれば直ぐ除草」無農薬栽培は雑草との競争。横浜の消費者Yさんが除草機掛けの助っ人で活躍。 2017.6.14撮影
「田植えを終えれば直ぐ除草」無農薬栽培は雑草との競争。横浜の消費者Yさんが除草機掛けの助っ人で活躍。 2017.6.14撮影

前号でご紹介のように、今年の田植えは、5月21日から始めましたが、カモの導入予定圃場は、田んぼが乾かずレベラー作業が遅れたため、田植えを一旦中断し、再開後、最後の田植えは6月1日になりました。

その最後の田植えの日には、農機具メーカーの開発部が、人工衛星の電波を利用した位置情報GPSによる、田植え機の直進自動走行装置の試作車を我が家の田んぼに持ち込んできました。
GPS関連装置の活用は、この1、2年で多くの分野で実用化・拡大を続けており、すでに、安価な汎用ソフトが受信や出力機能を含めて10万円程度で市販されているようです。
これを、操縦桿やハンドルを動かす機械装置を製作し連結すれば、プログラム入力にって、ドローンやトラクターなどどのような車も自動運転可能という訳です。

当地のような150メートルもの、長くて大きい田んぼでは、雨や逆光など悪条件下では、目標照準が目視できなかったり、浅水であっても水があれば、風の日には波が立ち直進不能になります。

そこで、落水して田植えをすると、無農薬栽培では雑草の発生が増えたり、泥が雪だるま状に車輪にからみ走行不能になるため、水を張ったまま直進できる装置は価値があります。
試作車は真直ぐ植えたり、畦近くになると自動で停止する機能などほぼ完璧でした。

来年には50~60万円程度で販売開始する予定とのことですが、今後数年で、更に精度が良く、更に安価な機械が出るし、汎用ソフトセットを購入し、自作することも可能と思われます。最近の機械の開発は実に目覚しいです。
でも、安全で美味しいお米作りは天候に左右され、機械開発よりも難しいのが実情です。

 

今年の6月は異常低温。カモと雑草は元気で、稲と親父は、大弱り。

「山形県の鴨屋さん」カモを届けに来てくれました。 2017.6.15撮影
「山形県の鴨屋さん」カモを届けに来てくれました。 2017.6.15撮影

田植えは例年より、ほんの数日遅れの6月1日に終えました。
例年だと、田植え後2日ほどで、稲は新しい根を出し成長を始め、5日も経てばカモの放鳥に耐えられる稲になります。

ところが、今年の当地は、田植えの翌日から急に寒くなって、最高気温が13℃の日があるなど、20℃を超える日が少ないという、異常に寒い日が続きました。
このため、カモの到着を6月15日まで延期しました。

しかし、カモが到着した田植え後2週間を経過した時になっても、稲は例年の田植え後2、3日目の弱弱しい姿のままです。
この稲の状態で放鳥すれば、稲はカモに、たちまち踏み荒らされ、壊滅する恐れがあります。
こんなに稲が成長遅延する悪天候は、今まで経験したことがありません。

ところで、過去に2度ほどカモの管理ボランティアにお越し下さった関西の消費者Oさん「青森各地を旅するが、そのついでにカモ管理の無料奉仕する。」と先月メールがあり カモの到着日から、10日ほど毎日朝夕、カモを管理下さいました。
放鳥できないカモは、田んぼの餌場に囲い込んで、Oさんの管理下で、稲の成長を待ちました。カモはOさんに懐いたようです。

「関西の消費者Oさん」今年もカモの無料管理ボランティアとして応援いただきました。 2017.6.23
「関西の消費者Oさん」今年もカモの無料管理ボランティアとして応援いただきました。 2017.6.23

この間、一部のカモが囲いから逃げた時には、カモに一晩で押しつぶされた稲が多発。
そのままでは、稲が全滅するために、翌日はカモを直ぐに囲い込みました。
例年でも、カモの活動で稲は傷みますが、放鳥時期以降の稲には、成長に勢いがあり、カモの活動で受ける傷みは例年なら、稲の成長勢いが乗り越えてくれるのです。

ところで、今年は低温で稲が成長しない一方で、雑草は、寒くても元気に大きく育ってきます。
カモを長く囲い込んだままにすれば、今度は田んぼが雑草まみれになります。そこで、6月21日になって、心配しながら放鳥に踏み切りました。
今年のカモは、誕生から日が経ち大きくなって元気活発。例年だと、寒い日が続けば毎日10羽から20羽が衰弱死亡する時がありますが、今年は、輸送時の疲れで、到着翌日に2羽死亡したものの、その後は、カラスやトビ、タカに獲られる以外は、無傷でとても元気です。

でも、カモが健康で元気なことは、有難いことではありますが、低温で成長が遅い今年の稲には、カモの元気なことも痛し痒しです。

「カモの囲い込み管理」稲の成長が遅れて入るため、カモを餌場に囲い込み管理中 2017.6.18撮影
「カモの囲い込み管理」稲の成長が遅れて入るため、カモを餌場に囲い込み管理中 2017.6.18撮影

6月末になっても、引き続き低温で稲の成長力が盛り上がらず、時々、カモを囲い込み、稲への被害を防ぐなどの手当てで凌いでいる状態です。
これで雑草が取れるのか、稲が無事に育ってくれるのか、色々心配の種がつきない今年のお米作りです。

「カモの群れと除草機掛け」囲いから放したカモは大喜びで元気いっぱい。 2017.6.25撮影
「カモの群れと除草機掛け」囲いから放したカモは大喜びで元気いっぱい。 2017.6.25撮影