14年11月/好天の中で稲刈り終了

好天の中で稲刈りを終えました。PDF版

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土日は三人の孫も田圃で大はしゃぎです。2014.10撮影

今年の8月は雨の日が特別に多いでした。
我が家の田圃は、昔の八郎湖を干拓したかっての湖底ですので、雨が多いとコンバインなど機械が歩けなくなるなど、収穫作業は泥んこになります。
また、農薬を使わない栽培方式のため、イモチ病など病気の発生を大変心配していました。

ところが、9月に入って天候は好転して、10月の収穫が終わるまでほぼ連日好天に恵まれました。
お陰で、心配した病気も拡がらず、また、美味しいお米ができるかどうかを左右する一番大事な登熟(トウジュク)期が、日中は晴天高温、夜間は涼しいというイネにとって理想的な環境になり収穫期を迎えました。

また、この好天で収穫時期の田圃もよく乾き、コンバインもスイスイと快調に収穫作業を終えることができました。

一番上の孫は男児で小学校一年生。運動能力の発達が遅れ気味でしたが、最近自転車にも何とか乗れ、コンバインの高い運転席への乗り降りも素早く出来るようになりやっと一安心。稲刈り時期の土日は、田圃での大はしゃぎが続きます。

稲刈り作業が一段落すると、田圃に、幅30センチ、深さ1メートルの溝を掘り、直径7センチの穴の空いたポリエチレン管を底に敷設して、モミスリした籾ガラで埋め戻すという、排水の悪い田圃を乾かすための暗渠(アンキョ)工事に忙殺されますが、例年この工事後半は、ミゾレが降る中での震えながらの作業となります。

 

今年の白神山地・十和田湖、奥入瀬の紅葉は最高!
でも人出はナシ

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全山紅葉。素晴らしい好天。でも十和田湖は閑散

今年も我が農舎には、東北の紅葉を訪ねるついでに立ち寄って下さった方が何組かいらっしゃいました。

稲刈り作業を終えた20日過ぎに訪ねてこられた一組と、私も、数年ぶりに白神、岩木山、十和田の紅葉見物に同行しました。白神も、十和田湖、奥入瀬も紅葉の見頃で、好天にも恵まれて最高でした。しかし、景勝地はどこを訪ねても、人も車もまばら。

白神山地の一画にある新緑、紅葉スポットの十二湖も、人影はほとんどなく何軒もあった売店、茶店は、1軒営業していただけで、あとは休業でなく廃業していました。また、紅葉真っ盛りの奥入瀬、十和田湖畔のどの道も駐車場も、土日ではない平日とはいっても、ガラガラでした。
観光などの様態が時代と共に大きく変化していることもあるのでしょうが、一番の大きな原因は、アベノミクスに期待した方も多かったようですが、日本の経済環境は逆に年々悪化していることが、ヒシヒシと感じられました。
この白神、十和田の紅葉見物より10日ほど前に、私が大潟村で百姓を始める前の数年間、滋賀県庁の職員をしていた時の後輩らが6,7人連れのグループで、秋田、青森の旅の途中に我がロッヂに2泊しました。

私も70才を超え、彼らも3年から10年前に定年退職して年金生活の齢。数十年ぶりの再会に酒と話が弾み、愉しい二夜を過ごすことが出来ました。

このように、我がロッヂを訪ねて下さる人々からは、愉しい想いやパワーを頂いたり、新聞や本やテレビなどでは知ることが出来ない色々の社会実態を知ることが多く「無料の逗留空間=我がロッヂ」からオーナーの私が得る効用は偉大なのです。

この度訪ねてくれた後輩グループからも「現在75才から80才以上の高齢の方の年金は余り落ち込んでいないが、それ以降の年代の公務員年金はひどい状況だ。」という、私が知らなかった実態を教えて頂きました。

秋田のような田舎・地方に住んでいると「公務員の待遇は良すぎる」と言って、公務員を攻撃する話をよく聞きますが、国家公務員の内で一握りであるキャリアーは別にして、昔から、一般公務員の現職時の給与待遇は、大手の民間企業で働く方に比べると、大幅に劣るのが実情です。

しかし、退職後の年金待遇は比較的恵まれているのが公務員でした。ところが、最近の公務員は現職時代も年金時代も共に恵まれず、その上、地方においては「公務員は恵まれ過ぎだ」という言われなき袋叩きを受けています。この現象は、民間企業従事者の待遇が落ちてきた腹だたしさを、企業や政治に向けず、公務員を叩くことで、素朴に憂さを晴らしているのが実態です。困ったものです。

本当の元凶は、アベノミクスが空回りする現在の経済環境を創っている価値観です。
これは「安いものを作り、安いものを求めることが経済の原則で善ある。」という価値観が正しいことであると信じて疑わないエコノミストの言うことを、政治家も官僚も、企業家も、そして消費者までもが盲信していることが原因です。安い物を作るため、社員の給与を下げ、リストラし、派遣頼りし、海外に工場を移す。 安い物を求めるため、賃金の安い輸入品を世界中から求め続け、国内の産業を潰す。市民の給料や所得が下がり、年金の将来見通しが暗ければ、人々は物を買わない。

その結果、消費や設備投資などの内需は落ち込み、民間企業は赤字になる。さらに給料を下げる。内需はさらに落ち込む。消費税を上げても、それ以上に所得税や法人税収は下がる。

この悪循環を断ち切るには、安い物を求める経済原則は正しいという価値観から、市民も、企業家も全ての人々が解放され卒業することが必要です。エシカルコンシューマーというライフスタイルは、環境や伝統産業を応援することに止まらない、日本の産業構造、経済の立て直しの日本国民にとっての大事な切り札です。