15年4月/田圃と白神ツアー(予告)

不順な天候を心配しながら種蒔き準備をスタートPDF版

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種籾の農薬を使わないお湯による消毒作業

例年ですと4月20日過ぎに咲く梅の花が3月下旬にはほころんできました。

しかし一方で、もう数日で4月になる時期だというのに、視界ゼロの猛吹雪の日もあるという不順な天候です。
当地は、種蒔き準備の時期に入りましたが、近年続くこの異常気象に付近の農家の誰もが心配しながら作業を始めました。

ところで、農業を成長産業にするために、外食チエーンのワタミやイオンを始めとした大手流通企業の農業参入への規制緩和や、6次産業化などの掛け声が、民主党政権下でスタートして以来、アベノミクスの中でも種々の政策が打ち出され、その先進事例が時々マスコミでも、はやし立てられることが流行っています。

ところが、ニュースで大々的に報じらたこれらの事例は、一、二年後には撤退や破綻、或いは、破綻せずとも将来展望やビジネスモデル達成は見込めそうにないなど、成功事例になかなか出会えないのが実情です。
でも、マスコミは、流行や、政府の意に反するこのような失敗情報は無視します。

私たちの付近でも、役人や評論家におだてられて米粉などの補助事業に億単位を投資したまでは良かったが、数年の内に倒産や経営者が行方不明、或いは、驚くべきことに販売量が予定の5%前後に止まり苦しんでいる例などを目の当たりにします。

また、この数年間で、米を中心に農産物の生産者価格が軒並み暴落。でも、値下がり分が所得補填されるので、米農家の実質収入は余り落ちていませんが、市場に評価されて得た収入ではなくて、財政援助ですので自立不能経営に墜落しています。

このため農民は、生き甲斐や、やり甲斐を無くしています。また、現在の所得補填の財政負担は、国の財政事情を見れば、長くは続かないことを予期しています。

この状況を受けて農地価格は大暴落し、今まで農家にとって大きな資産価値のあった「農地」は、全国各地で買い手の付かない負の資産に向かっています。農村に在住のある博識な古老が「昨年からの日本農村は、正に昭和恐慌前夜そっくりの雰囲気だ。」と評したのを聞き「なるほど」と感じ入ります。
このような暗い農村事情の中で、我が農舎は、幸い補助金に頼らずに、やり甲斐が感じられる米作りを、かろうじてでも続けられているのは、エシカルなライフスタイルを大切になさる皆さんのご支援のお陰だと感謝しております。

でも、我が農舎が提携米という消費者の皆さんに支えられる米作りに切り替えてから、もうかれこれ30年になります。
当初からご支援頂いた多くの方がご高齢になり、お子様が成長され、その自立なさった次世代の新家庭が、引き続きご利用ご支援下さっている事例も多く、大変有り難く喜んでおります。あらためて御礼申し上げる次第です。

ところで、前段のアベノミクス関連に話しは戻りますが、農業構造改革で政府は大規模化を大きな柱として打ち出しました。
私は、経営規模の拡大はある程度は必要ですし、企業経営のマネジメントや経営理念の持ち方など経営マインドを高めることは大切なことだと思います。

しかし、数度訪ねたことがある、アメリカやオーストラリアの幾つかの大規模なアグリビジネスモデルは「自然を征服する」という理念に立脚しており、我が農舎のお米作りのポリシーとは異なりますし、大農場の経営収支はどこも悪く、巨大性には圧倒されても学ぶところはなく、逆に反面教師として役立っただけでした。
農業経営には色々の型があって好いのでしょうが、無機の素材産業や家畜の飼料を作るのとは自ずと異なって、私たちのお米作りには、何よりも最初に「食べ物を作る」という視点が無くてはならないと思います。

健康を創る「食べ物」を得るためには、生産者は、自然を征服するのではなく「自然と共存する姿勢」が不可欠です。

こうしたお米作りの場合の適正規模は、家族経営でこなせる範囲内で、それぞれの経営者の技量により幅はありますが、機械施設の発達に応じて投じた資金が効率的に償却できる規模から求めるのが基本だと思います。ちなみに今日の栽培技術や機械開発レベルにおいては1戸当たり20から40ヘクタール以内ではないかと思われます。

我が黒瀬農舎が、これからもこのような姿勢のお米作りを続けるためには、高齢化や食生活の変化で、消費量が年々減ってくるのは時代の変化で仕方がありませんので、お支え下さる皆様の人数がもう少しあれば有り難いのが実情です。
機会がございましたら、ご友人などご紹介頂ければ嬉しいです。

 

田圃公開と白神山地新緑ツアーの予告

世界自然遺産新緑ツアー~前回の白神山地田代湿原~
世界自然遺産新緑ツアー~前回の白神山地田代湿原~

恒例の隔年実施の田圃公開と白神山地のブナの新緑を訪ねるツアーを今年行います。
田圃公開のこの時期は、丁度カモ君たちが草取りに精を出してくれる終盤期に当たります。カモ除草の見学とカモへの声援をお願いします。

詳しくは追って案内しますが、参加希望者はロッヂの宿泊予約と飛行機の割引早割り切符の手配を早めにお願いします。

7月2日(木)カモの見学慰問 (午後2時頃集合)
7月3日(金)白神ツアー    (16時解散)

※参加を検討されている方は早めにお問い合わせ下さい。