16年3月/冬の状況あれこれ

大雪が来れば雪害。でも雪がなければ逆雪害。PDF版

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2機共に倉庫で眠ったままのスノーモービル(2016.02.27撮影)

網走の流氷接岸は、昨年より1ケ月余り遅れて(平年に比べると20日ほどの遅れで)「やっと着た」とのニュースが先月末にありました。

このように、この冬の日本列島は、局地的に大雪や寒波が襲っているものの、総体的には「暖冬」のようです

私たちの秋田では、この異常な暖冬は、さらに激しく、クリスマスも年末年始も雪がなく、その後も、ほとんど雪のないまま2月も終わりました。年末の号でご案内した我が家のスノーモービルは、倉庫でホコリを被ったままです。

このモービルは、急な山岳を100Kmもの速度で走り、競技にも使えるような100万も200万円もする機体ではなく、子供たちとの雪遊びや、冬場の果樹園管理の足に使うための小型機。新車価格で50万円前後。その未整備の古い車種を、数万円で譲り受け、エンジン回りや電気系統を仕事の合間にコツコツ自分で整備した代物です。

このようなモービルは、路面が隠れる程度の雪で走行可能なので、例年の当地ならバイクのように冬中いつでも走れます。でもこの冬は、その少しの雪さえない有様です。

この「暖冬」。地域の土建屋さん達は、長期の不況に喘いでいる中で、冬場の「除雪」仕事までもがなくなって、大打撃のようです。
そして私たち百姓は、春先以降に悪天候が来る前兆ではないかと、先のことが心配でならない今年の冬でした。では、陽気の変わり目の時期くれぐれもご自愛下さい。

 

北国の冬の状況あれこれ

少し見ずらいですが、下の写真は,私たちの村の入口にある、昔の八郎湖の一部分である承水路に掛けられた「大潟橋」です。

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凍らなくなった八郎湖 (大潟橋付近)(2016.02.27撮影)

この付近は、例年の今頃は、氷に覆われ氷上のワカサギ釣りの人々で賑わいます。

ところが、今年はご覧のように一度も凍らず波がたっています。

私たち一家が郷里の滋賀県から、日本海沿いに900Km北上して、この地に移り住んだ40年前頃には、「暖冬」という言葉はありませんでした。
この頃の冬の八郎湖の承水路部分は、12月も下旬になると一面氷に覆われ、節分頃には小型ジープが氷上を走れる程に厚く氷結し、これが一気に融け出す3月下旬頃は、ワカサギ釣りの人が氷と共に流され、ヘリコプターなどによる救助騒ぎが数度繰り返されることが、春を告げる風物詩でした。

それが、平成に入る前後から、お正月までに凍らない年が、時々現れるようになり、その頃から「暖冬」という言葉が新聞やテレビに取り上げられるようになってきました。

しかし、今年のようにほとんど凍らないということは初めての現象です。化石燃料の大消費などで人間が地球を狂わせてしまったのでしょうか。

ところで、お米作りの仕事は、秋の収穫が終わると、雪が来る前までに、田圃の排水のための、排水溝掘りや暗渠工事などを、急いで仕上げると、屋外の作業は当地のような北国では、春まで休戦となります。

しかし、屋内の作業や機械の整備、改良など日々結構忙しく、毎年アッという間に、冬が過ぎます。
今年も今月下旬になると種籾の選別や種子消毒などお米つくり作業の開幕です。

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有機栽培研修会(2016.02.05撮影)

こうした合間に、有機栽培の検討会や意見交換会などが幾つも行われます。
左のスナップは、先月初めに行った私たちの有機栽培グループの研修会です。

この日は、有機肥料を調達して頂いている技術者を交えて、昨年の稲の生育経過や作柄、そして味などの品質を検証し、新年度の栽培管理の改善点について活発な意見交換が行なわれました。

また、この日の研修会では、有機肥料の信頼性の高い原料の調達が、年々難しい状況になってきていることが報告されました。
これは、国内産の原料である魚粉などが、漁獲量が大幅に減少する中で、家畜や養殖魚用への仕向けが年々増えたことで、有機肥料用に廻ってこなくなったとのこと。
また、この数年のトラック不足の中で、運賃の値上げが続き、有機肥料は、容積重量ともにかさばるので、輸送コストの上昇が特に激しい。

この2つにより有機肥料価格は、今後も年々値上がりすることは避けられない。などの報告があり参加生産者には頭の痛い問題でした。