16年5月/無農薬苗作りの工夫

熊本震災お見舞い申し上げます。我が家は、種まきを終えました。PDF版

tl1605001雪国の秋田に今年の冬は雪がまったくないなど不順な天候が続き、何か不吉な予感がして心配していたら、熊本の大地震。
今回の地震は今までとは違って、いつまでも余震が収まらず被災地域の方はさぞ心細いことだと思います。被災された方々心よりお見舞い申し上げます。

ところで、雪のない冬の後、梅は例年より1ヶ月も早く開花するなど今年は春が早くやってきましたが、当地のほとんどの生産者が、例年より1週間ほど遅めに今年の春の農作業をスタートさせました。不順な天候按配を心配したようです。

しかし、その後、桜の開花は例年よりも3日早目、昨年より3日遅れで満開を迎えるなど、天候も、ほぼ例年のペースに回復してくれました。

毎年付近の生産者に比べるとやや遅めに始める我が家の種まきは、ほぼ例年並みにスタートさせましたが、第一回目の種まき作業は土曜日だったので3人の孫も種まき場で大ハシャギ。庭の桜も丁度満開の日に当たり、桜の下で昼食会。

家族全員種まき作業で忙しく、料理を作る時間がないのでホットモットの特選弁当。好天の桜と労働のお陰でしょうか700円の弁当は7000円以上の美味しさで作業の合間のあわただしい花見会でしたが全員大満足でした。
2回に分けた種まき作業も4月中に無事終え、苗床の管理と、本田の田起しや代かき作業、田植えなど、これから春作業の本番期に入ります。

 

黒瀬農舎の無農薬苗作り時期の工夫

農薬や化学肥料を使わない我が農舎のお米作りが今年もスタートしました。そこで、今月は、育苗期の無農薬栽培の工夫を少し紹介します。

種もみ消毒
農作業のタイムラプス動画などあれこれ無農薬栽培の最初は、種もみの消毒です。
一昔前までの「種もみの消毒」は、水銀剤が使われていました。水銀剤は素晴らしい効果を発揮してくれますが、その廃液の環境汚染や人体被害が問題となり、今では比較的被害が少ない幾種類もの消毒剤が開発されています。

しかし、これらの農薬も無害という訳ではありません。我が家では「60℃のお湯に10分浸し、直ぐに冷水で冷ます。」方法で雑菌を死滅させています。
この浸ける温度と時間は、非常に厳密に行わないと、殺菌できなかったり、種もみが煮えて発芽不良を起こします。
少量の種もみならば鍋や釜で何とでもなりますが、何百Kgもの多量になると中々大変です。また、市販されている温湯消毒装置も小型の物しかありません。
そこで、一度に50Kg前後の種もみを処理できるように、1000リットルのポリタンクにポンプを取り付け、風呂用の古い灯油温湯機にお湯を循環させ、サーモスタットで常に60℃をキープするように、20年ほど前に自作した装置で消毒しています。

催芽・種蒔き
温湯で消毒した種モミは、数日水に浸し、30℃のお湯に24時間浸け、種もみから1mm程度芽が出るように催芽させます。
この装置も、1000リットルのポリタンクとポンプ、クズ鉄屋さんから貰ってきた電気給湯器のヒーターとサーモスタットで30℃にキープするように自作しました。
酸素供給のために循環時のお湯をシャワーさせることと、さらに酸素不足気味の部分はタンクの底にコンプレッサーで少量の空気を常に流し込むように工夫して成功しました。
種まきは、天日乾燥させ砕土した山土を近所の土建屋さんから購入し、少量の有機肥料を混ぜて種まき装置で播種作業を行います。
播種した苗箱は、夏場の虫対策のために使っているお米の冷蔵作業室を一時的に利用し、30℃の室温で2,3日。種もみが1センチ前後芽が伸びるまで発芽させます。
この温源もヤフオクで数千円で手に入れたやや大きめの灯油暖房機。
2,3日暖房しても、断熱効果が高い部屋なので灯油は30リットル前後の少量で賄えます。

育苗・苗床
苗箱並べ(タイムラプス動画を撮影してみました)一般に苗作りは温かくて成長が早いビニールハウスで行われますが、我が家の場合は、農薬を使いませんので露地育苗です。
温度が高くなるハウスの中で、また、畑状態で苗を育てるとどうしても病気に弱くなり、農薬は必須となります。
そこで、我が家では、温度が上がらないようにハウスを使わず、また、苗箱の下にポリシートを敷き、浅く水を張ることで、酸素を遮断し、苗床を嫌気状態に保つことで病原菌の繁殖を抑え、苗代期の農薬散布を行わなくても丈夫な苗が育つように工夫しています。