自分で売らない農業…

先日の産地視察で、直接有機農業とは関係ないけど疑問に感じたことがありました。

それは「自分で作った農産物を自分で売らなくて面白くないんだろうか?」と言うこと。

見学した「さんぶ野菜ネットワーク」のメンバーで新規就農や後継者の方々に話を聞きましたが、売り先は「ネットワーク」が面倒を見てくれるのでまったく気にしていない(安心している)、とのことでした。
そのため、一部でも自分で販路を開拓したり、庭先で売ったり、ということもしていないようです。

さんぶ野菜ネットワークさんの出荷場。首都圏の生協、有機宅配会社などに自社(手配)便で出荷しています。 生産者がまとまることで、大手と安定的な取引ができたり、輸送コストを抑えられたりとメリットは多くあります。


これは今回視察したところに限らず、他の(有機)生産者団体の生産者と話しても「団体の代表が頑張って売ってくれているので、うちらは作るだけ」という方が多くいました(もちろん全員ではないと思いますが)。

販売を担っているのは(自分たちの)「生産者団体」だけど、自分自身は販売に関与していない。
ましてや、生産者団体の組織や販売先が出来上がってから入ってきた後継者や新規就農者は、生産者団体に出せば当たり前のようにどこかに売られている状況が出来上がっているわけです。

「生産者団体経由で自分で販売している」と言う言い方もできるかもしれませんが、それでは、言い方は悪いかもしれませんが様々批判のあるJA(これも一応生産者の団体)への出荷と何が違うのか…と思えてきます。
(契約栽培で安定していると言う点はあるけど、自分で売る努力はしていないという点においては…)


今回見学した新規就農者の人参畑。栽培しているのは人参のみで出荷先は参加する生産者団体に任せている。
現在の0.7haを今後2haぐらいまで増やして人参だけで経営を安定させたいとのこと。

自分は、実家が産直で消費者に直接販売しているのを見ていて、おもしろいなーと思って実家を継ぎました。

自分で消費者に直接売ることがベストだとは思いませんし、作物によって向き不向きもあります。
また、(農産物に限らず様々な商品が)大量流通が主流なので、生産者が集まって生産者(出荷)団体を組織した方が量がまとまるなどいい面も多いとは思いますが、それで販売に各生産者がほぼ関与しなくなるのはどうなのかなー、と思ったりします。

そこあたりが、大きな出荷場を見て感じたなんかモヤモヤとした感覚なのでした。
(前の記事で様々な形の農業があっていいと言いながらですけど…)

今回話を聞いた人たちは、団体が販売先を確保してくれること、そして自分は単一もしくは少品種の作物を作る事に専念していることに満足していることを考えれば、多様なやり方があっていいわけなので、外野がとやかく言うもんじゃないのかもしれませんけどね。

日記・雑記の最新記事8件